グーグルは2015年2月26日、「インターネットが支える日本の経済成長」と題したシンポジウムを開催した。ボストン コンサルティング グループと野村総合研究所が、グーグルの委託で実施したモバイルアプリ関連の調査の結果を報告。モバイルアプリが国内で既に56万人の雇用を生み出しているなど、さまざまな数値が披露された。

 まず、ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクターの東海林一氏が、世界と日本の市場動向についての調査結果を発表した。米/独/日/韓/中などの主要13カ国を対象に、各国の約1000人のスマートフォン/タブレットユーザーに対して実施した調査である。

 それによれば、モバイルインターネットは今後も大きな成長を遂げ、2017年には1カ月当たりの世界全体のトラフィックが1千万TB(テラバイト)に拡大する見込みだという。アプリのダウンロード数も急増中だ。2008年から2012年のダウンロード数の総計が世界全体で1000億件だったのに対し、2013年は1年間で1000億件に達した。

写真1●モバイルインターネットの市場規模(主要13カ国)
写真1●モバイルインターネットの市場規模(主要13カ国)
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 モバイルインターネットの主要13カ国の市場規模は、2013年の68.2兆円から2017年には150兆円に達するとしている(写真1)。日本も2013年の8.3兆円から11.5兆円へと伸びるが、人口減少などにより「相対的には伸びは小さい」(東海林氏)。こうした中で日本企業が存在感を高めるには、グローバルな視点を持つことが重要とした。

写真2●クラウドサービスの利用状況と従業員1人当たりのGDPの相関
写真2●クラウドサービスの利用状況と従業員1人当たりのGDPの相関
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 次に、野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 上級コンサルタントの前原孝章氏が、日本の経済成長におけるインターネットの貢献についての調査結果を報告した。クラウドサービスを活用する企業が多い地域ほど従業員1人当たりのGDPが大きいこと(写真2)、クラウドサービスの利用には販売管理費(間接費用など)を削減する効果があることなどを発表した。

写真3●情報通信業以外の人がApp Economyに携わっている
写真3●情報通信業以外の人がApp Economyに携わっている
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 さらに、スマートフォンの登場によって新たに出現したビジネスを「App Economy(アプリ経済)」と定義し、App Economyの市場規模についての調査結果も紹介した。国内のApp Economyの市場規模は2013年に8000億円を超える規模になっており、既に56万人の雇用を生んだと推計する。

 また開発者以外でApp Economyに携わる人の業種の内訳では、情報通信業は27%にとどまる(写真3)。「情報通信業以外の人が、ビジネスにアプリという形でICT(情報通信技術)を取り込み始めた」(前原氏)と分析した。