日立製作所は2015年2月24日、カメラ付きのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とAR(拡張現実)を用いて工場の保守点検作業を支援するシステムを2015年7月から販売すると発表した。これを使うと、ハンズフリーで保守点検作業ができるようになる。既存のクラウド型機器保守/設備管理サービス「Doctor Cloud」のオプションとして提供する。
同社が今回、ハンズフリー型の現場作業支援システムを開発した。特徴は、HMDとカメラを一体化したウエアラブル端末(写真)を用いて、これにAR技術を組み合わせたこと。現場作業者は、機器などに貼付したマーカーを、目線を変えることなくカメラで読み込むことができる。AR技術によって、マーカーに対応した情報を作業ナビゲーションとしてHMD上に表示する(図)。
カメラは小型かつ着脱式で、無線通信機能を持つ。これにより、死角となりやすい機器の裏側なども撮影しやすい。また、高輝度のディスプレイを搭載しているため、屋外でも視認性が高い。ヘルメットには約2~8時間の連続動作が可能なバッテリーを装着しており、長時間の連続作業が可能。
同社はこれまで、クラウド型の機器保守/設備管理サービスであるDoctor Cloudを強化してきた。2013年10月には、AR技術を用いたナビゲーション情報をモバイル端末上に表示するシステムを試験した。2014年9月には、カメラ付きのHMDを用いたハンズフリー化の試験運用を開始した。今回は、これらの成果を合わせてハンズフリー型のARシステムを用意した形である。
価格は、以下の通り。前提となるクラウドサービスのDoctor Cloudは、標準機能を使う場合の初期費用が180万円から。機器1台当たり9万5000円から。月額費用が、通信費用などを含めて7500円から。これに対して、Doctor Cloudのオプションとして用意する今回のハンズフリー型のAR活用システムは、詳細はまだ未定だが、初期費用が数十万円程度から。販売目標は、2015年度の1年間で、国内外のプラント、工場、機器メーカーなど約30社、拠点数で100拠点への導入を目指す。