Appleは現地時間2015年2月23日、欧州に2つのデータセンターを建設すると発表した。1つはアイルランド西部のゴールウェイ州、もう1つはデンマークのユトランド半島中部。いずれの施設も面積は16万6000平方メートルで、100%再生可能エネルギーで稼働するという。

 Appleは、これらに17億ユーロ(約2290億円)を投じる。データセンターの完成は2017年を予定。完成後は欧州全域のユーザーに「iTunes Store」「App Store」や、同社のメッセージサービス「iMessage」、地図サービス、音声アシスタント「Siri」といったオンラインサービスを提供する。

 AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)によると、同プロジェクトは欧州における同社最大の投資になる。「(これにより)現地で数百人規模の雇用を創出するとともに、最先端のグリーンビルディング設計を導入する」と同氏は述べている。Appleの環境保全に向けた取り組みについては、先ごろ太陽光発電システムを手がける米First Solarの新施設建設に同社が8億ドル以上を出資すると伝えられた(関連記事:Apple、太陽光発電に8億4800万ドルを出資)。

 米Wall Street Journalは、Appleが欧州でデータセンターを建設するのは初めてのことだと伝えている。元米中央情報局(CIA)職員Edward Snowden氏の暴露により、米政府の情報収集の問題が取り沙汰されて以来、欧州当局は個人データの保護に関し懸念を強めているという。

 同紙によると、欧州では個人データを域外に持ち出すことに厳しいルールを設けている。現在検討されている新規制案では、データ保護規制に違反した企業は最大で1億ユーロ、あるいは年間売り上げの5%を罰金として科せられる可能性がある。欧州に自前のデータセンターを持つことで、こうした問題を避けたいと考える企業も少なくないと、同紙は伝えている。

[発表資料へ]