[画像のクリックで拡大表示]

 米Googleは現地時間2015年2月23日、同社のオンライン決済サービス「Google Wallet」の普及に向けて、米AT&T、米Verizon Wireless、独Deutsche Telekomの米国法人T-Mobile、およびこれらキャリアの合弁によるモバイル決済事業Softcardと提携を結んだと発表した。

 提携のもと、キャリア3社は、Google WalletアプリケーションがプリインストールされたAndroid(KitKat以降)搭載スマートフォンを、年内に販売開始する。またGoogleは、Softcardの一部技術と知的資産を取得し、Google Walletの向上を図る。米Appleのオンライン決済サービス「Apple Pay」への対抗を強めるのが狙い。

 Googleは1月に、Softcardを買収する方向で交渉中と報じられた(関連記事:Google、通信大手3社によるモバイル決済合弁と買収交渉中か)。買収額として1億ドル未満を提示していると伝えられたが、今回の提携に基づく技術および知的資産獲得に支払う金額については明らかにしていない。

 SoftcardはAT&T、Verizon、T-Mobileが2010年に共同で立ち上げた。元の名称は「Isis Mobile Wallet」だったが、過激派組織「イスラム国」を示す略称「ISIS(Islamic State of Iraq and Syria)」と同じであるため昨年名称を変更している。先ごろ約60人を解雇し、自身の売却先を探していると伝えられた。

 Google Walletは2011年に提供を開始したが、期待したほど普及が進んでいない。キャリア大手はこれまで、自身のモバイル決済サービスを展開するために、Google Walletをスマートフォンに標準搭載することを拒否してきた。しかしSoftcardもユーザーの確保に失敗し、キャリア3社は収益を得られないApple PayよりGoogleと組む方が得策と判断したと、関係筋の話として米Wall Street Journalは報じている。

 モバイル決済に関しては、韓国Samsung Electronicsが米LoopPayの技術をベースにしたモバイル決済システムを、次期フラッグシップ機「Galaxy S6」に搭載すると見られている。Galaxy S6は、同社が3月1日に開催するイベントで正式発表される見込み(関連記事:Samsung、モバイル決済の新興会社LoopPayを買収へ、Apple Payに対抗)。

[発表資料へ]