写真1●佐賀県 統括本部 業務改革課 業務改革担当 係長の陣内清氏
写真1●佐賀県 統括本部 業務改革課 業務改革担当 係長の陣内清氏
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写真2●佐賀県 統括本部 業務改革課 最先端電子県庁担当 係長の松永祥和氏
写真2●佐賀県 統括本部 業務改革課 最先端電子県庁担当 係長の松永祥和氏
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 2015年2月17日、都内で開催された「公共・自治体 ICT化事例セミナー」に、佐賀県庁でテレワーク導入を担当した佐賀県 統括本部 業務改革課の陣内清氏(写真1)と松永祥和氏(写真2)が登壇。2014年10月から全庁展開しているテレワークのためのICT基盤整備について講演した。

 佐賀県庁では、仮想デスクトップ、クラウド環境、タブレット端末、ビデオ会議システムなどテレワークのためのICT基盤を導入し、職員が県庁外から庁内システムにアクセスして在宅勤務、モバイルワークをすることができるシステムを構築した。2014年10月から、全職員約4000人に向けて同システムを提供している。

 テレワークシステムの検討は、2013年8月からスタートした。まず、2013年8月から2014年3月にかけて、業務用iPad100台を試験導入し、モバイルワークの効果検証を実施した。「100台という限られた数の端末で、より有益な効果検証を行うために、営業系、訪問系、現場系(建築・土木など)、バックオフィス系の各事業部から、iPadを積極的に使いたいと希望する部署を募集した。その結果、100台の定数に対して196台分の希望があったため、部署ごとにiPad活用の目的について提案書を提出してもらい、配布部署を決定した」(陣内氏)という。

 iPadの試験導入と同時に、テレワークに対する職員の意識改革にも取り組んだ。「実は、佐賀県では2008年から在宅勤務制度が存在し、リモートアクセスサービスも導入していた。しかし、これがほとんど利用されていなかった。今回、テレワークを“当たり前の働き方”として全職員に展開するために、まずは管理職からテレワークのメリットを実感してもらう必要があった」(陣内氏)。同庁では、2014年8月からの一定期間、所属長以上の管理職約180人を対象に、週2日の在宅勤務を義務付けた。自宅にパソコンやインターネット環境が無い管理職職員のために、県内11カ所、首都圏と関西圏に各1か所、サテライトオフィスも用意した。10月の全庁展開に向けて4月から入札を始めた

10月の全庁展開に向けて4月から入札を始めた

 試験配布したiPadを活用したモバイルワークで、業務効率化の効果が実証されたとして、同県は、2014年度に1億8817万3000円、2015年度~2019年度の4年間で9億9060万円の予算を組み、テレワークのためのICT基盤整備を開始。2014年10月のテレワーク全庁展開に向けて、2014年4月から、サーバー増強、500人同時接続可能なネットワーク環境整備、タブレット端末1000台やモニターの調達をスタートした。

 当時、調達などシステム整備全般を担当していた松永祥和氏は、「4月から10月までの短期間に、サーバー、回線、クラウド、タブレットをすべて調達しなくてはならず、入札が大量に発生した」と振り返る。端末については、Windows環境を使いたいという職員の要望があり、iPad、iPad mini、iPhoneに加えてWindowsタブレットも導入。各端末から、仮想デスクトップ環境を利用する仕組みを構築した

 松永氏らの尽力により、8月にはタブレット端末の配布が無事スタートし、当初の予定通り、10月からのテレワーク全庁展開が実現した。

 最後に松永氏は、仮想デスクトップ環境によるテレワークシステムを導入した経験から、「Microsoftのライセンス購入は要注意だ。ハードベンダー、ソフトベンダーと一緒にライセンスの使い方をよく検討する必要がある」と述べた。

■変更履歴
記事公開時、第3段落で「部署ごとにiPad活用の目的をプレゼンテーションしてもらい」としておりましたが、プレゼンテーションではなく提案書の提出でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2015/02/27 18:50]