会見に登壇したCCCの増田宗昭社長(右)とフリービットの石田宏樹会長(左)
会見に登壇したCCCの増田宗昭社長(右)とフリービットの石田宏樹会長(左)
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 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とインターネット接続事業を手掛けるフリービットは2015年2月19日、2社が業務提携により展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)に関する事業戦略説明会を開いた。会見にはCCCの増田宗昭社長兼CEO(最高経営責任者)とフリービットの石田宏樹会長が登壇(写真)。フリービットのMVNO運営のノウハウと、CCCが持つ「TSUTAYA」や「Tカード」などの経営資源を垂直統合して、「生活提案」を切り口にした新しいサービスを実現させる考えを示した。

 2社は前日の2月18日に資本業務提携を発表した。CCCが51%、フリービットが49%出資する事業会社「トーンモバイル」を2015年3月に発足させ、同社がMVNOサービスの運営を担当。CCC子会社のCCCモバイルがトーンモバイルのサービスの販売、フランチャイズ展開を担当することが骨子だ。

 トーンモバイルの社長には石田氏が、会長には増田氏が就任予定で、石田氏は2月18日付でフリービットの社長職を田中伸明氏に譲るなど、トーンモバイルの立ち上げに軸足を移せる体制にした。

 会見で石田氏は、CCCからのアプローチで提携交渉が始まった経緯を説明した。フリービットは2013年末から「料金を3分の1にする」とうたうMVNOサービス「freebit mobile」を提供。同サービスを小売りするフランチャイズ制度も用意している。CCCとの交渉中に同サービスを半月の期間限定で函館市の蔦谷書店で販売したところ、5坪でも月次換算で170台強を販売するなど好調だった。これで踏み込んだ提携交渉に弾みが付いたという。

 トーンモバイルの事業開始に伴い、現在のfreebit mobileはブランドとサービス内容をトーンモバイルに合わせて統一していく。今回の業務提携に先行して、フリービットはfreebit mobileの事業を2015年1月に子会社に移管している。この子会社がCCCからの出資受け入れ後に社名を変更してトーンモバイルとなる。

 石田氏は、事業移管後もfreebit mobileの機能やサービス仕様は同等以上に維持していくと説明。そのうえでバージョンアップによってCCCの経営資源を用いたトーンの新サービスを加えていく。「現在の利用者は現状のサービスをそのまま使え、さらにより良いサービスを追加で利用できるようになる」(石田氏)。

 新サービスは「トーン」のブランドを用いる予定だが、表記やロゴなどは検討中。石田社長によると、TSUTAYAの頭文字「T」とfreebit mobileがコンセプトにする「ONE」を組み合わて、音色や調子を表す「Tone」に掛けているという。

 一方、CCCの増田氏はトーンモバイルが提供する新しいMVNOサービスの考え方を「いわば、スマホで提供する手のひらTSUTAYAだ」と表現。スマートフォンを通じて、CCCが多角展開を進めている様々なサービスを店舗とオンラインで連携させていく考え方を示した。

 映像ソフトや書籍を扱う「TSUTAYA」やポイントカード「Tカード」、今後出店を加速する複合商業施設「T-SITE」などが対象。特に、CCCが新業態として立ち上げる“生活提案”型の家電販売店「蔦谷家電」で、トーンモバイルを販売していく考えを表明した。

 蔦谷家電は2015年春に東京・世田谷区の商業施設「二子玉川ライズ」で最初の店舗を開業させる。石田社長は、3月以降、トーンモバイルの具体的なサービス内容を順次発表していくとした。