写真●米マイクロソフト デジタルクライムユニット アシスタント ジェネラルカウンシルのリチャード・ボスコビッチ氏
写真●米マイクロソフト デジタルクライムユニット アシスタント ジェネラルカウンシルのリチャード・ボスコビッチ氏
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 日本マイクロソフトは2015年2月18日、サイバーセキュリティに関する情報発信拠点「マイクロソフト サイバークライムセンター 日本サテライト」を、同社の品川本社オフィス内に開設した。米マイクロソフト本社にあるサイバー犯罪対策/研究センター「サイバークライムセンター」が収集・解析しているサイバー脅威のデータのうち、日本に関連する情報を、国内セキュリティ関連団体を通じて公表していく。

 米国本社のサイバークライムセンターは2013年11月に設置された。法律専門家、技術捜査員、データ分析専門家からなる専門部隊が、世界中のマルウエアやボットネットを監視し、法的手段によってボットネットを閉鎖させる活動をしている。米マイクロソフト デジタルクライムユニット アシスタント ジェネラルカウンシルのリチャード・ボスコビッチ氏(写真)は、「法執行機関と連携し、ボットネットのホストコンピュータを法的手段で停止させる。サイバー犯罪者から攻撃インフラを取り上げることで、犯罪防止に効果を上げている」と説明した。

 加えて、同センターでは、同社が開発した児童ポルノ画像検出技術「PhotoDNA」を用いて、児童ポルノ画像のインターネット上でのやり取りを監視している。PhotoDNAは、画像ファイル固有のハッシュを作成し、既知の有害な画像とインターネット上の画像のハッシュを照合する技術である。同センターは、同技術によって確認された児童ポルノ画像がインターネットにアップされた場合は法執行機関に通報している。ボスコビッチ氏によれば、同センターの通報により、2014年中に58件の犯罪が検挙されたという。

 日本マイクロソフト本社内に同日開設した日本サテライトは、サイバークライムセンターの5つ目の地域拠点となる。日本法人内で特に組織を新設したわけではなく、顧客企業向けの各種ブリーフィングやワークショップを提供している既存の社内組織「マイクロソフトテクノロジーセンター」に、米国のサイバークライムセンターと連携する役割を付加した格好だ。サイバー犯罪捜査などで国際的な対応が必要になった場合は、日本サテライトが日本における窓口の役割を担い、政府機関とサイバークライムセンターの橋渡しをする。

 今回、マイクロソフトテクノジー内に、米国サイバークライムセンターが提供するサイバー脅威の最新データを可視化する環境を構築。日本に関連するサイバー脅威の情報を、国内セキュリティ関連団体を通じて公表していく。PhotoDNAで検知した児童ポルノ画像の情報をオンラインサービス事業者や捜査機関に通知し、画像の流通を阻止する取り組みも行う。また、政府機関や企業に向けて、組織内のセキュリティ対策についてのアセスメントサービス、サイバー攻撃の検知サービスなどを提供する。

 ボスコビッチ氏は、「日本サテライトの開設により、日本の警察や産業界と連携した活動がやりやすくなることに期待している」と述べた。