写真●神戸市内に設置されているスーパーコンピュータ「京」(写真提供:神戸市)
写真●神戸市内に設置されているスーパーコンピュータ「京」(写真提供:神戸市)
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 神戸市は2015年4月から、同市内の理化学研究所に設置されているスーパーコンピュータ「京」(写真)を活用した創薬推進プロジェクトを始める。2月16日に発表した2015年度当初予算案に関連費用約4800万円を計上した。京を擁する立地を生かして創薬拠点化を狙う。

 神戸市が取り組むのは「インシリコ(in slico)創薬」と呼ばれる手法である。「シリコン(半導体)の中で」といった意味合いがあり、コンピュータを駆使した創薬手法を指す。

 現状では一つの新薬を開発するために、細胞や動物を使った実験を繰り返す必要があり、1000億円以上の開発費と10年以上の期間を要している。この創薬プロセスのうち、候補化合物の絞り込みや作用のシミュレーションなどをスパコンで処理することで、200億円程度のコスト削減と、2~3年程度の開発期間短縮を見込めるという。

 2015年4月から、市と兵庫県、地元企業などが出資する先端医療振興財団に専門チームを置き、スパコンで動作する創薬支援アプリケーションの開発を始める。その後、製薬会社から利用料を受け取ってアプリケーションの開発・保守を続ける計画である。