米連邦航空局(FAA)が商業目的の小型無人飛行機(ドローン)使用に関する規則原案を発表したことに関して、複数の米メディア(米TIME米USA TODAYなど)が米Amazon.comの反応を報じている。Amazon.comは現在開発に取り組んでいるドローン配送システム「Amazon Prime Air」をまず米国外で展開する可能性を示唆したという。

 FAAが現地時間2015年2月15日に公開した規則原案はドローンの重量や高度の制限、操縦者の資格などさまざまな条件を定めている(関連記事:米航空局が商用ドローンの規則原案を公開、意見公募へ)。ドローンの飛行は操縦者および監視担当者からの見通し範囲内(VLOS)を超えてはならず、双眼鏡などを使わない状態で視認できる範囲に限られる。また、直接的な関係者以外の人間の頭上を飛行してはならない。

 これら条件から、FAAの原案では、米国でのドローン配送サービスは認められないことになる。今後条件が変更される可能性はあるが、規則策定まで2年はかかると見られている。

 Amazon.comは、2013年12月にPrime Airの計画を発表した。2015年の実用化を目指し、昨年夏には屋外での試験飛行に対する許可をFAAに申請した(関連記事:Amazon.com、ドローン配送システムの屋外テスト許可をFAAに申請)。

 FAAはこれまで、航空測量や建設現場の監視、映像制作などを目的とした一部ドローン使用を認めてきたが、Amazon.comの申請はまだ承認されていない(関連記事:米航空局が4社の商用ドローン飛行を許可、Amazon.comは含まれず)。

 Amazonグローバルパブリックポリシー担当バイスプレジデントのPaul Misener氏は今回の原案発表を受け、「FAAは、当社事業のニーズ、ひいては消費者のニーズに対応した正式な規則策定プロセスを開始し、早急に完成させるべきだ。我々はPrime Airの実現に向けて取り組んでおり、法的に認められる場所でサービスを開始する用意がある」と述べた。

 英Guardianによると、Amazon.comはすでに、商用ドローンの使用が認められている英国のケンブリッジに研究開発チームを拡大している。

 また米New York Timesは、「規則案は改定される可能性があり、特に安全性が証明されれば、ドローン配送サービスの開発が許可されるかもしれない」とのワシントン大学法学部准教授のコメントを紹介している。