日本電信電話（NTT）は2015年2月16日、3次元の物体（立物体）をどの方向から撮影しても認識・検索し関連情報を提示する「アングルフリー物体検索技術」を開発したと発表した。

　立体物を認識・検索する場合、本やCD、印刷物などの平面物と異なり、異なるカメラアングルで撮影すると検索精度が低くなるという課題がある。また、検索精度を保つために一つの物体に対して100枚程度の画像をあらかじめデータベースとして登録する必要があり、そのコストの負担が大きいことも課題だった。

　これに対して、NTTは「画像特徴の重要度をその出現頻度に基づき統計的に推定する方法」を用いて物体などの検索精度の大幅な向上を図るとともに、「入力画像と参照画像の間の対応関係を正確に特定する」ことで参照画像として事前にデータベースに用意する画像の数を従来の10分の1程度まで削減することを可能にしたという。

　この技術を活用すれば、スマートフォンなどを通じて周囲の建物・史跡や店舗、商品などを認識し、観光コンテンツや店舗・商品情報などを提示するといった用途に展開できる。情報コンテンツを多言語化すれば、2020年の東京五輪に向けて世界中の人々の観光を支援する「会場案内」「ルート案内」「観光案内」などの観光ナビゲーションサービスの提供も可能となる。

　この他、商品にカメラをかざすと価格や口コミ、在庫などを閲覧できる「商品検索」や、指定スポットでカメラをかざすだけでスタンプをゲットできる「デジタルスタンプラリー」、展示物にカメラをかざすと解説コンテンツを提示する「作品解説」、機器にカメラを向けると説明書が見える「電子マニュアル」などの展開も可能だ。

伊東商工会議所と共同でデジタルスタンプラリーのトライアル

　NTTは、伊東商工会議所（静岡県伊東市）と共同で、2015年2月25日～3月3日に開催される「第3回伊東MAGARI雛イベント」への訪問者を対象に、2月28日～3月3日の4日間、この技術を活用した新たなデジタルスタンプラリーのトライアルサービスを、NTT西日本 静岡支店の現地運営協力のもとで実施する。

　トライアルサービスでは、トライアル参加者が一定のルートを訪れたことを、スマートフォンなどでユーザーが撮影した画像から今回の物体検索技術を使用して判定する。GPSのみでは困難であった屋内での訪問ルート判定が可能になるとする。

　NTTは今後、この技術の実用化を進め、2020年までには、さまざまなパートナーとのコラボレーションを通じ、世界中の人々の移動や観光を支援するナビゲーションサービスを提供できるように取り組む方針。なお、同技術を用いた観光ナビゲーション、移動支援サービスへの応用例は、2015年2月19日～20日に開催する「NTT R&Dフォーラム2015」でも紹介する。

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