写真1●武雄市、DeNA、東洋大学が実施した小学1年生へのプログラミング教育についての成果報告会
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写真2●武雄市が全小学生に1人1台貸与しているAndroidタブレット端末と、そこに搭載されたDeNA開発のプログラミング環境アプリ
写真2●武雄市が全小学生に1人1台貸与しているAndroidタブレット端末と、そこに搭載されたDeNA開発のプログラミング環境アプリ
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 佐賀県武雄市、ディー・エヌ・エー(DeNA)、東洋大学の三者は2015年2月12日、武雄市内の小学校1校で2014年10月から実施してきたプログラミング教育の成果報告会を行った(写真1)。武雄市の小松政市長と浦郷究教育長、東洋大学の竹村牧男学長、DeNAの南場智子取締役 ファウンダー、プログラミングの授業を行った1年生の学級担任など関係者が登壇した。

 このプログラミング教育は、三者による実証研究として、武雄市立山内西小学校の1年生40人を対象に、2014年10月から2015年2月まで計8回、放課後の時間を活用した課外授業の形で実施した。武雄市が2014年4月から市内の全小学生に貸与しているAndroidタブレット端末を使用し、DeNAが開発したプログラミング環境アプリで、「キャラクターに指定した動作を行わせる」プログラミングを指導した。授業内容には、「ループ」「条件分岐」の学習も含まれる。動作させるキャラクターは、児童たちが自分で描いた絵をタブレットのカメラで取り込んだものだ。

 プログラミング環境アプリは、DeNA 取締役最高技術責任者の川崎修平氏が、子供向けプログラミング言語「Scratch」を参考に、タブレット端末でのタッチ操作に特化した仕様で独自開発した。アプリ上にキャラクターを呼び出し、「←にあるく」「ジャンプする」「おおきくなる」などのコマンドが書かれたブロックを並べて動作させる(写真2)。川崎氏は、今回のプログラミングの授業の「先生」として教壇に立った。実施の授業の中で、児童たちのアプリの使い方を観察し、毎回の授業後に操作性の改善を加えたという。

 同日の成果報告会では、「児童の反応」を指標とした暫定的な評価を公表した。第7回(1月29日)の授業終了後、「プログラミングのじゅぎょうはたのしかったですか?」の質問に対して、出席した児童37人全員が「たのしかった」と回答。この結果について、東洋大学 経済学部の松原聡教授は、「一人も落ちこぼれることなく授業についてこられた」と評価した。一方で、学級担任の藤瀬澄子教諭は、「ブロックをつなげる作業は1年生には難しく、児童1人ではできなかった。1対1のサポートが必要だった」と語った。今回の授業では、1クラス20人の授業に対して、1年生の学級担任3人を含む6人~7人がサポートとして入ったという。

 プログラミング教育用のデバイスとしてタブレットを活用したことに関しては、「タッチ操作で直感的に扱えるところや、カメラですぐに絵を取り込めるといった点で、小学1年生向けのプログラミングデバイスとしては良かった」(川崎氏)と評価した。川崎氏によれば、今回使ったプログラミング環境アプリは、OSによらずタブレット端末で動作する仕様になっている。iPadやWindowsタブレットへの展開も可能だとする。

 小松市長は、プログラミング教育は、5月に開始したタブレット端末を使う反転授業「スマイル学習」、官民一体型学校「花まる学習会」に続く教育改革の“第3の矢”としながらも、今回の三者協働の取り組みの継続・展開については「未定」とコメントした。