パナソニックは2015年2月10日、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて開発中の各種技術を公開した。「おもてなし」をキーワードに、ペンダント型の自動翻訳機をはじめとした多言語対応技術や、ウェアラブル機器を個人認証やセキュリティ対策に利用する技術などを披露した。

 自動翻訳機は、首から下げて利用する小型端末(写真1、写真2)。内蔵のマイクで発話の内容を認識し、それを文字でディスプレイに表示する。同時に、サーバーに送信して翻訳を実行し、結果を音声で再生する。例えば「I cannot speak Japanese」と話しかけると、「私は日本語が話せません」という音声が流れる。デモでは、言葉を発して数秒で翻訳結果が再生された。

写真1●ペンダント型の自動翻訳機
写真1●ペンダント型の自動翻訳機
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写真2●内蔵マイクに向かって話しかければ、その内容が翻訳される
写真2●内蔵マイクに向かって話しかければ、その内容が翻訳される
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 翻訳エンジンには、情報通信研究機構(NICT)が開発する技術を採用(関連記事:“言葉の壁がない世界”が現実に? 新手法で進化する機械翻訳)。これをベースに、マイクの雑音除去技術などパナソニック独自の技術を盛り込んで端末を開発した。

 スマートフォン用の翻訳アプリなどは既に存在するが、接客など両手を使いながらの会話が必要な場面では使い勝手が悪い。そこで同社では、ハンズフリーで利用できる小型端末の開発を進めている。まずは10種類の言語に対応する予定で、「10言語あれば、7~8割の訪日外国人に対応できる」(同社説明員)とする。

 テーブル型のディスプレイを挟んで、異なる言語で会話ができる装置も披露された(写真3)。発話の内容を翻訳するだけでなく、地図や商品情報など関連したコンテンツをディスプレイで表示する。店頭などでの利用を見込んでいる。

写真3●翻訳を実行しながら、ディスプレイに関連情報を表示する
写真3●翻訳を実行しながら、ディスプレイに関連情報を表示する
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