日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)は2015年2月5日、第22回となる「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」を開催。日本版IFRS(国際会計基準)、J-IFRSとも言われる「修正国際基準(JMIS=ジェイミス)」について、公開草案に寄せられたコメントへの対応の議論を一通り終了し、ASBJの審議を経て正式版を公表する方針を確認した。

 ASBJは修正国際基準の草案を2014年7月に公開し、10月末までコメントを募集(関連記事:姿を現した日本版IFRS、IT各社は新たなビジネスチャンスに期待)。その後、作業部会でコメントへの対応に関して議論を続けてきた(関連記事:「日本版IFRS」最終化に向けASBJが作業部会、日本基準との関係で議論白熱「日本版IFRS」作成の意義も再検討課題に、ASBJが作業部会を開催)。

 結果的に公開草案からは、文言の変更はあるものの大幅な修正はなく、公開される見込みとなった。一方、作業部会では修正国際基準の適用時期について、「2015年4月1日以降に始まる会計年度の期首から」となる方針が示された。この点について2月6日に実施されたASBJ親委員会では大きな異論は出なかったことから、修正国際基準の正式版が近日中に公開される見通しとなった。

適用方法について疑問が続出

 「2015年4月1日以降に始まる事業年度から」というタイミングについて、事務局は「強制適用ではなく、任意適用というのを考慮してなるべく早いタイミングを考えた。監査体制が整うかどうかが懸念材料」と説明。この点について、監査人側の委員からは「このままスムースに進むならば、監査側の体制について特に問題ないだろう」との見解が示された。

 第22回作業部会では、適用時期が具体化したことで、適用方法などの質問が挙がった。その中の一つが、初めて修正国際基準を適用する際の前年度の決算の処理だ。この点について事務局は、仮に2015年4月1日に始まる事業年度(2016年3月期)から修正国際基準を適用した場合、IFRSの「初度適用」と呼ばれる規則により、前年度に当たる2015年3月期の財務諸表も修正国際基準を適用する必要があるとの見解を示した。

 また適用時期を公開草案に含めずに作業部会のみで示したことについて、委員から質問があった。この点について事務局は、「修正国際基準の採用は任意になるためだ。強制適用の場合は、公開草案で意見を求めることが適当」との意見を述べた。

 このほか「既にIFRSを任意適用している企業が、修正国際基準に変更できるのか。その場合、初度適用をもう一度行う必要があるのか」といった質問が提示された。この点については、「制度の設計については、金融庁が決める」(事務局)としたうえで、「あらゆる可能性は排除せずに、議論をしたつもりである」(同)との見解を示した。