日立ハイテクノロジーズは2015年2月9日、装着者の身体の動きや場所などのデータを収集、解析することで組織集団の「幸福感」を計測できるウエアラブル端末を開発したと発表した。コールセンターやオフィスなどで、業務の生産性に強く相関する指標「組織活性度」を計測できる。日立ハイテクはウエアラブル端末やビーコンなどを貸出し、計測した「幸福感」をデータとして提供するサービスを2015年4月に開始する。
同社が開発したウエアラブル端末は名札型で、温度や湿度、加速度・角速度などを計測できる(写真1)。赤外線を利用するセンサーも搭載しており、装着者が人と対面した時間などのデータも計測できる。
計測したデータは、日立製作所が開発した組織集団の幸福感をデータで示す予測モデルで解析する。実際には、装着者の動きや場所などのデータを収集してクラウド上で解析し、「組織活性度」を数値やグラフで表す。
同社は予測モデルを作るために、7社、10組織、468人の従業員に対して5000人日のデータを計測。データを基に、米国国立精神保健研究所が開発した、抑うつ傾向の自己評価尺度「CES-D」との相関を解析した。
検証の結果、組織集団の幸福感が高いほど業務の生産性が高いことが分かったという。2拠点のコールセンターで実施した検証では、「幸福感」が高いコールセンターは、低いコールセンターに比べて日ごとの受注率が34%高い結果が出たという。
同社 中央研究所の矢野和男主管研究長は「計測できるのは組織全体の幸福感で、個人の幸福感ではない」と話す(写真2)。ウエアラブル端末で計測したデータを基に幸福感を算出するには、最低5人分のデータが必要だという。