Google諮問委員会による報告書
Google諮問委員会による報告書
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 欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が支持した「忘れられる権利(right to be forgotten)」について、米Googleの諮問委員会は現地時間2015年2月6日、情報削除の対象をEU圏内にとどめるのは適正だとする見解を明らかにした。

 Googleは2014年5月、スペインの男性が同社を相手取って起こした訴訟で、ECJから「検索エンジンは、個人情報を含むWebページへのリンクを検索結果から削除する義務がある」とする判決を受けた。その後同社は欧州のインターネットユーザーから削除申請を受け付け、申請内容を査定し、検索結果ページからリンクを削除する作業を進めた。

 しかしリンク削除を巡る混乱から、Googleの削除プロセスは不明瞭だとする批判が高まり、同社は2014年7月、社外専門家を含む諮問委員会を設置した(関連記事:Google、「忘れられる権利」に基づくリンク削除で諮問委員会を設置)。同委員会は、世界の大学、メディア、データ保護、市民組織、技術セクターなどからの専門家で構成され、英オックスフォード大学教授、フランス紙「Le Monde」の論説員、スペインの元データ保護当局責任者、ドイツの元連邦法務大臣などが参加している。

 同委員会は、個人のプライバシーの権利と公共の知る権利および情報を配信する権利との適正なバランスについて検討し、今回その検討結果をまとめた報告書を公開。一般的に欧州のユーザーはブラウザーのアドレスバーに「google.com」と入力しても欧州向けサイトのみでの情報削除は、知る権利と平等にプライバシーの権利を保護しているとの考えを示した。フランスなら「google.fr」、ドイツなら「google.de」というように、ローカル版のGoogle検索にリダイレクトされることを踏まえたものだ。

 一方、EUのプライバシー保護当局は欧州だけでなく、米国向けGoogle検索にも忘れられる権利を適用することを求めている(関連記事:EU、米国版Google検索にも「忘れられる権利」の適用を迫る指針策定)。これを支持する米消費者保護団体のConsumer Watchdogは、諮問委員会の報告書について「自己弁護のためのスタンドプレーだ」と非難する声明を発表している。

[発表資料(google Driveで公開された報告書)]