写真●2014年4~12月期の連結決算を発表するNTTの鵜浦博夫社長
写真●2014年4~12月期の連結決算を発表するNTTの鵜浦博夫社長
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 NTTは2015年2月6日、2014年4~12月期の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は前年同期比2.0%増の8兆1825億円、営業利益は同7.5%減の9109億円と、増収減益だった。増収は5期連続。NTTドコモの減益が重くのしかかるが、鵜浦博夫社長(写真)は「年間計画に対して想定通りに推移している」と総括した。

 同社が成長の柱として掲げるグローバルクラウド事業は好調で、海外売上高は前年同期比2881億円増の1兆1491億円に達した。クロスセル受注額は累計1億4600万ドルに拡大。売上高150億ドル(1兆5300億円)の通期目標の達成が視野に入ってきた。これまでは売上高の拡大を重視して取り組んできたが、今後は利益率の改善も図っていく。

 セグメント別の営業利益を見ると、地域通信事業(主にNTT東西)が前年同期比310億円増と大きく貢献した。業務の効率化やマーケティング費用の削減によるもので、NTT東日本はサービス卸の開始に先立ち、キャンペーンを抑えたという。一方、NTT西日本は電力系通信事業者との競争が激しく、キャンペーンを継続しているが、その分の純増が利益拡大につながった。2014年4~12月期のフレッツ光の純増数は56万7000件で、前年同期(57万2000件)並みを維持できた。

 データ通信事業(主にNTTデータ)も売上拡大に伴う粗利の改善や不採算案件の抑制などにより、前年同期比219億円増と好調だった。2015年1~3月期は受注残高の確実な収益化を進め、さらなる上積みを目指す。一方、移動通信事業(主にNTTドコモ)は、端末購入補助(月々サポート)の影響拡大や新料金プラン(カケホーダイ&パケあえる)の減収影響などにより、同1009億円減と大きく足を引っ張った。

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  •  鵜浦社長はNTT東西が2月に始めたサービス卸について、「当初の想定より遅れたが、結果としてパートナー企業との準備期間を確保できるようになり、円滑なスタートを切ることができたと評価している。ただ、第一歩が始まっただけ。多様なプレーヤーが参画し、多様なサービスが登場するという意味ではこれから取り組みを強化していく」とした。

     NTTドコモのドコモ光については、「新料金プランに新たな選択肢を加えることができたと評価している。(新料金プランは)成長市場から成熟市場に移っていく動きを先取りした取り組みとなっており、より豊かなブロードバンドライフを楽しんでもらう。中期的な取り組みとして評価していただきたい」とコメントした。