写真●ヴイエムウェア マーケティング本部長の篠原克志氏(右)、同社マーケティング本部 シニア プロダクト マーケティング マネージャの桂島航氏(中央)、同社ストラテジックアライアンス本部長の名倉丈雄氏(左)
写真●ヴイエムウェア マーケティング本部長の篠原克志氏(右)、同社マーケティング本部 シニア プロダクト マーケティング マネージャの桂島航氏(中央)、同社ストラテジックアライアンス本部長の名倉丈雄氏(左)
この説明会ではこのほか、IDC ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏が仮想化製品市場についての見通しを示した。
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 ヴイエムウェアは2015年2月3日、ハイブリッドクラウドの基盤ソフトウエア「VMware vSphere 6」を発表した(写真)。サーバー/ネットワーク/ストレージを仮想化し、パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを構築する。前バージョンのvSphere 5.5に比べて、650以上の新機能を搭載し、拡張性、可用性、耐障害性を大幅に向上したとする。

 同社は併せて、ストレージ関連の新機能として「VMware Virtual SAN 6」と「Virtual Volumes」、OpenStackクラウドの構築を容易にするOpenStackディストリビューション「VMware Integrated OpenStack」なども発表した。

 いずれも2015年第1四半期(1〜3月)に一般提供を開始する予定。1プロセッサー当たりの市場想定価格は、vSphere 6エディションは12万5000円から、Virtual SANは31万2000円から。Virtual Volumesは、vSphere Standard Edition以上およびVMware vSphere ROBOエディションに含まれる。VMware Integrated OpenStackは、vSphere Enterprise Plus、vSphere with Operations Management Enterprise Plus、vCloud Suiteのユーザーに無償提供される。

 ヴイエムウェア ストラテジックアライアンス本部長の名倉丈雄氏は説明会において、vSphere 6の特徴として大幅なスケーラビリティの向上を挙げた。例えば、ホスト1台当たりの仮想マシン台数をvSphere 5.5の512台から、vSphere 6は2048台と4倍まで増やした。

 そのベースとなっている技術の一つとして「Instant Clone」を説明した。これはオリジナルの親VMから子VMをクローニングすることでVMを生成し、高速なプロビジョニングを実現する。さらに子VMが親VMのメモリー空間を共有するため、わずかなリソースでVMを稼働できるという。

 もう一つの特徴として同氏は、高可用性を実現する新機能を挙げた。具体的には、vSphere 6に長距離ライブマイグレーション機能「Long-Distance vMotion」を搭載した。大陸横断規模の長距離を想定し、最大100ミリ秒のRTTまでvMotionが可能だという。データセンター移行のほか、災害時の退避やサイト間にわたる負荷分散などに利用できる。また、マルチプロセッサーに対応したフォールトトレランス機能も搭載し、最大4CPUを持つVMを継続稼働できるようにした。

 新しいストレージ関連機能については、同社マーケティング本部 シニア プロダクト マーケティング マネージャ 桂島 航氏が解説した。同氏はまず、ハイパーバイザー統合型のストレージの新版であるVMware Virtual SAN 6の特徴として、オールフラッシュ対応(SSD階層化)、2倍のスケーラビリティ(クラスターノード数)、4倍のパフォーマンス(ホスト当たりのIOP)、エンタープライズデータサービス(耐障害性の向上)の4点を挙げた。同氏は、「従来はクリティカルなアプリケーションの本番系には薦められなかったが、今回のバージョンで本番系にも使えるようになった」と述べた。

 Virtual Volumesは、ストレージ装置からVMを認識できるようにして、VMに対するストレージ割り当てを迅速にし、さらに柔軟で動的な調整が可能とする。これにはストレージ装置側の対応が必要となるが、国内大手のNEC、富士通、日立製作所を含む大手ストレージベンダーが6月までに出荷を始めると表明しているという。

■変更履歴
記事公開時、ホスト1台当たりの仮想マシン台数について、vSphere 5.5が64CPU、vSphere 6が128CPUとしましたが、正しくはvSphere 5.5が512台、vSphere 6が2048台です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2015/02/05 10:50]