写真●米サイオステクノロジー 最高技術責任者のSergey A. Razin氏
写真●米サイオステクノロジー 最高技術責任者のSergey A. Razin氏
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 サイオステクノロジーは2015年2月3日、機械学習技術を搭載したITオペレーション分析ツール「SIOS iQ」を発表した。VMware仮想サーバー環境において、アプリケーション、CPU/メモリー、ストレージ、ネットワークの稼働状況に関するデータを収集、システムの定常状態を学習し、パフォーマンスの改善やリソース最適化のための推奨提案を行う。2月24日から、無償版の「SIOS iQ Freeview Edition」の提供を開始する。

 SIOS iQ Freeview Editionは、OVA(Open Virtualization Format)ファイル形式のソフトウエアとしてダウンロード提供される。同ソフトをVMware vCenterサーバーに接続すると、システムの稼働状況に関するデータの自動収集と分析が開始される。

 米サイオステクノロジー 最高技術責任者(CTO)のSergey A. Razin氏(写真)によれば、同ソフトは、まず、グラフ理論に基づく独自技術「vGraph」により、仮想マシンやアプリケーション、ストレージなどの相関図を自動作成する。次に、クラスタ分析などのアルゴリズムセットを搭載した機械学習エンジンにより、1時間から1週間ほどかけてシステムの定常状態を学習する。その上で、定常状態や最適構成から外れた要素を自動抽出し、他要素との関係性を加味しながら改善のための推奨提案を行う。

 これらの分析・学習結果を表示するユーザーインタフェースとして、同ソフトでは、(1)アプリケーションやコンピュータ/ネットワークリソースのパフォーマンス、効率、信頼性、キャパシティを表示する「PERCオーバービュー・ダッシュボード」、(2)アイドル状態の仮想マシンと削除可能なスナップショットを表示して、リソースの最適化を提案する「Wasteダッシュボード」、(3)キャッシュ化によってパフォーマンス向上が見込まれる仮想マシンの候補を示し、キャッシュ後の予想IOPS値(1秒あたりの処理I/Oリクエスト数)とレイテシー値(1I/Oあたり遅延値)、および推奨するキャッシュサイズ/キャッシュブロックサイズの値を提示する「ホスト・ベース・キャッシング・ダッシュボード」、の3種類のビューを提供する。

 「既存のITオペレーション分析ツールでもシステムの稼働状況を可視化することはできるが、例えば“稼働率75%”という計測値を見て、それが良いデータなのか悪いデータなのか判断するのは人間(運用管理者)だ。SIOS iQは、計測値に対して機械による考察を加えて、具合的なアクションプランを提示する。さらに、そのアクションによる影響をシミュレーションした結果も示す」(米サイオステクノロジー 最高執行責任者のJerry Melnick氏)。

 現在は、オンプレミスのVMware環境にのみ対応。将来的には、Hyper-Vやクラウド環境もサポートしていくとする。2015年中に、有償版の提供を予定する。