写真1●日本通信の三田聖二社長
写真1●日本通信の三田聖二社長
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 日本通信は2015年1月29日、2014年4~12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比12.8%増の35億2100万円、営業利益は同53.8%減の1億6600万円と、増収減益だった。通期業績予想に対する進捗率は売上高が56.5%、営業利益が13.5%と厳しい状況だが、業績予想は修正しなかった。東証1部への指定替えも申請する。

 1月30日の決算説明会に登壇した三田聖二社長(写真1)は業績の進捗について、「これまでも申し上げてきたが、四半期単位では評価しないでほしい。絶対に戻せる(通期目標を達成できる)と考えている」と強気の姿勢を示した。

写真2●2月発売の「VAIOスマートフォン」の個装箱を手に持つ日本通信の福田尚久副社長
写真2●2月発売の「VAIOスマートフォン」の個装箱を手に持つ日本通信の福田尚久副社長
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 背景にあるのは、同社が2014年12月25日に発表した、VAIOとの協業による新しいスマートフォンの投入だ。「多くのMVNO(仮想移動体通信事業者)が提供するノンブランドや型落ちではなく、最新のスペックでブランド力のある端末になる。あれが欲しいと消費者が感じる製品を提供していく」(福田尚久副社長、写真2)。当初は12月4日に発売する計画だったが、タッチパネルメーカー(台湾Wintek)の破たんで2月への延期を余儀なくされてしまった。

 VAIOスマートフォンは「最高レベルのグローバルスペック」(福田副社長)を搭載したAndroid端末。VAIOパソコンを所有する層と同じ30~50代を主なターゲットとしており、「ニッチではなく、ストライクゾーンの真ん中を狙う。『え、この価格でこれが手に入るの?』という形にしたい」(同)。主要代理店に初期ロットの需要をヒアリングした結果は好評で、「通期業績予想は達成可能と見ている。あとは十分な数量を届けられるか。(音声契約の場合は)本人確認の手続きが必要になるため、チャレンジングな面もあるが、達成の自信はある」(同)とした。

 2014年10~12月期の主な指標を見ると、月額課金SIMの回線数はデータ通信、音声通信ともに微増の状況(写真3写真4)。解約率は前年同期比2.1ポイント減の3.7%(MNPキャッシュバック狙いと想定される1カ月以内の解約を除く)。ARPU(契約当たり月間平均収入)は、データ通信が1076円、音声通信が1216円だった。プリペイドSIMの販売数はほぼ横ばいで、平均販売単価は4470円。

写真3●月額課金SIM(データ通信)の回線数推移
写真3●月額課金SIM(データ通信)の回線数推移
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写真4●月額課金SIM(音声通信)の回線数推移
写真4●月額課金SIM(音声通信)の回線数推移
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 これまでは通信の速度や容量を制限して安くしてきたが、制限を撤廃した「b-mobile SIM 高速定額」(2014年12月に発売)が好調。「VAIOスマートフォンと組み合わせて使ってもらいたいと考えている」(福田副社長)。「03」で始まる電話番号を利用できる「03スマホ」(2014年12月に発売)は1000台の限定で販売を始めたが、家庭や会社の0AB~J番号をスマートフォンで使えるようにするサービスが本命。今後、パートナーを通じて拡販していく。