写真●富士通 執行役員常務の塚野英博CFO
写真●富士通 執行役員常務の塚野英博CFO
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 富士通は2015年1月30日、2014年4〜12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.4%増の3兆3644億円とほぼ横ばい、営業利益は同11億円減の654億円で増収減益となった。金融や公共向けサービスが好調だったが、通信キャリアによる携帯電話基地局の需要が減少した。計画比では、「テクノロジーソリューション」「ユビキタスソリューション」「デバイスソリューション」の「主要3セグメントで上回った」(執行役員常務の塚野英博CFO、写真)。

 SI(システムインテグレーション)やインフラサービスを含めたテクノロジーソリューション事業は増収減益となった。売上高は前年同期比2%増の2兆2949億円で、メガバンクや省庁向けの受注増がけん引した。一方、営業利益は同306億円減の953億円と大幅な減益となった。「市場競争に備えるためのクラウドサービス向けの基盤など新規ビジネス投資を進めたためだ」(塚野CFO)。

 塚野CFOは「テクノロジーソリューション事業の受注残が、“特異的”に第4四半期に集中している」と話し、第4四半期における同事業の売り上げ増を期待する。金融・公共向けの受注が今後も堅調に推移すると見込んでいるほか、通信キャリアによる基地局への投資抑制は16年度をめどに緩和されると予想した。

 携帯電話端末やPC事業を含む「ユビキタスソリューション」の売上高は前年同期比2.1%減の7831億円、営業利益は同424億円増の84億円。「第1四半期、第2四半期に続いて黒字を維持した」(塚野CFO)。携帯電話端末については新機種の投入などで善戦したが、PC事業で大幅な売り上げにつながったWindows XP更新需要の反動が見られた。

 2015年3月通期の連結業績予想は売上高が4兆8000億円(前年同期比0.8%増)、営業利益は1850億円(同25.6%増)と据え置いた。ただしその内訳は変更しており、テクノロジーソリューション事業の売上高は3兆3400億円とし、前回予想に比べて200億円上方修正した。

 塚野CFOは「12~13年度の大幅な売り上げ伸長に比べて、13~14年度はそこまで伸びずに横ばいとなっている」と振り返った。16年度にかけて、東京五輪やマイナンバー向けの商談が長期的に増加すると予想する。