写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
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 NTTドコモは2015年1月29日、2014年度第3四半期の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は2014年4〜12月の累計で前年同期比1.1%減の3兆3268億円、営業利益は同14.7%減の5871億円の減収減益となった。

 同社は中間決算時、新料金プランの導入に伴うパケット収入の減少が想定以上となったことから、通期の営業利益目標を見直している。当初計画の7500億円から1200億円減となる6300億円に下方修正した(関連記事:新料金プランはパケット収入の減少が想定以上に響いた)。

 その6300億円という営業利益目標に対し、今回の第3四半期までの営業利益は進捗率で9割を超えている。「見直し計画に対して順調に進捗している状況」(同社の加藤薫社長、写真1)だ。

 年間目標を上振れする水準で推移しているが、今回、通期目標の上方修正はしなかった。同社の佐藤啓孝取締役常務執行役員 財務部長は、「残る第4四半期を展望した場合、まだ新料金プランの影響が残るなど、昨年よりも利益を押し下げる要因がある。また第4四半期は大幅なキャッシュバック合戦が起こりがちだ。我々はキャッシュバック合戦には与しない考えだが、様々な変動もあると思うので、うまく全体をコントロールしながら6300億円の利益を守っていきたい」と語った。

ドコモ光は「早期に100万契約を目指す」

写真2●新料金プランの影響は底打ちしたと説明
写真2●新料金プランの影響は底打ちしたと説明
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 大幅な減収減益の要因となっている新料金プランの影響だが、加藤社長は「底打ちし、2014年12月から改善傾向になっている」と強調する(写真2)。改善の要因として、データパックを当初のS(2Gバイト)、M(5Gバイト)に加えて、2014年9月から新たにL(8Gバイト)を作った点が大きいという。「上位プランを選択する率が増えてきており、2014年10月以降はMパック以上が50%超になっている」(加藤社長)。

 同社では新料金プラン移行後に月額負担が増えるユーザーをポテンシャル層と定義している。12月にはそのポテンシャル層が50%を超えたという。新料金プランの影響は年間では1000億円のマイナスを想定するなど業績に与える影響は大きいが、中長期的には反転していく見通しを示した。

 なお今回の決算に合わせてドコモは、NTT東日本およびNTT西日本(NTT東西)のサービス卸を活用したブロードバンドサービス「ドコモ光」を3月1日に開始すると正式発表した。ドコモ光においてもモバイルとのセット割「ドコモ光パック」を用意していることもあり、業績に与える影響を指摘する声がある。この点について、加藤社長は「今年度は準備や受付体制を含めて出費が多く、減益の影響が出る。ただし2014年度と2015年度を含めて減益ということがないようにしたい」と語った。

 実際、モバイルと固定のセット割である「ドコモ光パック」においては、最もパケット量が少ない「データSパック」では割引を無しに、パケット量が大きいプランほど割引率を増す体系とした。新料金プランでパケット収入減が予想以上に膨らんだ反省もあり、業績に大きな影響を与えないよう、こうした体系にしている側面もあるという。加藤社長はこのドコモ光について「早期に100万契約を獲得したい」と意気込む。

[決算資料:2015年3月期 第3四半期決算説明会資料 ]