写真●日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者(CTO) 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏
写真●日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者(CTO) 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏
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 日本マイクロソフトは2015年1月29日、同社 業務執行役員 最高技術責任者(CTO) 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長の加治佐俊一氏によるプレス説明会を開催。同社の研究・開発活動におけるオープンソースや取り組み、機械学習の動向などについて紹介した。併せて、次期OS「Windows 10」のテクニカルプレビュー版や、音声通話をリアルタイムに自動翻訳する「Skype Translator」の日本語対応時期に言及した。

Windows 10テクニカルプレビュー版へ80万件のフィードバック

 米マイクロソフトの研究開発部門では、サティア・ナデラCEO率いる新体制のもと、開発サイクルの短期化を進めている。従来、研究開発から製品化までの目標期間を3年としていたが、アジャイル開発やDevOpsを全面導入し、リサーチから製品化までの期間をより短縮しているという。また、製品からのテレメトリやユーザーフィードバックを収集し、製品開発に活用している。「1月23日に公開したWindows 10のテクニカルプレビュー版に対しては、既に80万件のユーザーフィードバックを得た」(加治佐CTO)。

日本ではAzure上の仮想マシンの3割がLinux

 オープンソースへの取り組みに関して、同社では子会社のMicrosoft Open Technologiesが中心となって、ソースコードの開発や、標準化のための作業部会への参加といった活動を行っている。「ひと昔前までは、オープンソースとは対立しているような構図だったが、今はうまく連携している」(加治佐CTO)。加治佐CTOによれば、現在、同社のクラウドサービス基盤「Microsoft Azure」上の仮想マシンのうち2割がLinuxで稼働している。国内に限ると、Azure上の仮想マシンのLinux率は3割に上るという。

Googleの猫認識よりも2倍正確に犬種判別

 機械学習の分野で同社の研究歴は長く、Bingの検索エンジン、Kinectの認識機構、Outlookの迷惑メールフィルタリングなどの製品に機械学習のアルゴリズムを適用してきた。これらの製品に使ってきた機械学習の仕組みは、「Azure Machine Learning」サービスとして、外部に提供している。

 同社の機械学習に関する研究プロジェクト「Project Adam」では、“猫を認識したGoogle”に対抗して、コンピュータによる“犬種判別”を行った。「20億枚の犬の写真をコンピュータに学習させ、Googleの猫認識よりも2倍正確で、50倍の処理性能が出るシステムを実現した」(加治佐CTO)。

Skype音声自動翻訳の日本語版を2015年中に提供

 加治佐CTOはまた、2020年の東京オリンピックに向けた取り組みとして、音声通話をリアルタイムに自動翻訳する「Skype Translator」を、2015年中に日本語対応させる予定であることを明らかにした。「2020年までには、使い物になる翻訳性能を達成したい」(加治佐CTO)。