写真1●NTTが開発した「ターゲットマイク技術」では、従来のガンマイクの3倍の性能でスポーツの競技音を解析できる
写真1●NTTが開発した「ターゲットマイク技術」では、従来のガンマイクの3倍の性能でスポーツの競技音を解析できる
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写真2●放送局が一般的に使用しているマイクで集音した音の波形を解析する
写真2●放送局が一般的に使用しているマイクで集音した音の波形を解析する
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 NTTは2015年1月28日、観客の歓声など騒音の中でも、スポーツの競技音をはっきりと抽出できるソフトウエア技術「ターゲットマイク技術」を開発したと発表した。20~30デシベルの騒音の中でも、競技音を抽出し聞き取りやすい形に出力できる。

 同技術は、サッカーや相撲などのスポーツでの用途を想定している。サッカーのシュート音や力士の張り手の音などをはっきりと検出できる。実際にはガンマイクを2~4個設置し、集音した音の波形を解析する(写真1、2)。ソフトウエアが騒音の波形と競技音の波形の違いを区別し、競技音を強調して出力する。

 集音してから約15ミリ秒以内に出力できるので、「ほぼリアルタイムで競技音を聞ける」(日本電信電話NTTメディアインテリジェンス研究所 音声言語学メディアプロジェクト プロジェクトマネージャの高橋敏主席研究員)。同技術では20~30デシベルの騒音の中でも競技音を拾えるという。従来のガンマイクでは、約10デシベルの騒音中までしか拾えなかった。

 NTTは、2014年7月から日本放送協会(NHK)と共同でサッカーの試合や大相撲など競技中に実証実験を進めてきた。2015年度内にグループ会社のNTTアドバンステクノロジを通じてソフトとして販売、2020年の東京五輪に向けて性能検証を進める。