都市部で深刻化する交通渋滞、毎年数多くの死亡者を出す交通事故、甚大な被害をもたらす森林火災、朽ちゆく5000万冊もの貴重な古文書――。「中国が抱える社会的な課題の解決を支援していく」。2015年1月23日、社長への昇格人事が発表された富士通の田中達也副社長が、中国でのカンファレンスに登壇。アジアリージョン長として、中国でのビジネス展開の方針を語った。

写真1 富士通のアジアリージョン長である田中達也副社長
写真1 富士通のアジアリージョン長である田中達也副社長
中国での課題解決の具体例として、北京の富士通研究所で開発したソリューションを紹介。

 このカンファレンスは、同社が2014年9月から東南アジアを中心に展開している「富士通アジアカンファレンス」の第6弾で、インターコンチネンタル上海浦西で開催された。梶山正樹・富士通(中国)信息系統有限公司CEOの挨拶に続けて、田中副社長が壇上に立ち、アジアにおける同社の事業体制について解説(写真1)。さらに、冒頭に挙げた中国で展開しようとしているソリューションを紹介した。これらはいずれも、北京の富士通中国研究所で開発されているもの。これらを紹介することで、アジアの他の地域以上に中国市場に注力していることをアピールした。

 富士通(中国)はアジアの他地域以上に長い歴史を持つとともに、46社からなることもあってか、富士通アジアカンファレンス in Shanghaiは、同社のパートナー企業を含め約280人が集まる盛況ぶり。これまで他国で展開した、アジアカンファレンスよりも大きな規模となった。

 田中副社長に続けて、国家スマートシティ連合研究室・首席科学家であり、国際標準化団体ISOで「スマートシティ基礎設計技術委員会」の副主席を務めている万 碧玉氏、肥塚雅博富士通執行役員副会長が登壇。万氏は、中国におけるスマートシティプロジェクトの進展状況などを話した。また肥塚副会長は、都市化と人口集中が進む中国の状況を指摘しつつ、そこで生じる課題の解決策として富士通が提供できるソリューションの例を提示。それぞれ、別の課題の解決策にも応用できると主張した。