NTTデータは2015年1月23日、自社の先端技術トレンドを紹介するイベント「NTT DATA Innovation Conference 2015」を開催した。この中で、企業の従業員が身に付けたセンサーから得られるデータをメンタルヘルス管理に生かす「疲労リスクマネジメント」の研究成果を披露した(写真1)。
まだ研究を進めている途上だが、2015年度内にも社内で一部従業員を対象に実証実験を行い、実用化に向けた道筋を付けたい考えだ。
研究担当者は「現在多くの企業で行われている産業医や上司の面談では、従業員本人が率直に疲れていると伝えにくいこともある。伝えられたとしても、面談時点の状態を表しているにすぎない」と説明する。継続的な状況把握のために労働時間記録を参照することもあるが、“サービス残業”が横行していたり、何らかの一時的なトラブルに起因するストレスを抱えていたりする場合に管理が難しい。
そこでNTTデータの新技術では、従業員の疲労度を把握するために、心電を記録できるセンサーを使う。従来のメンタルヘルス管理の限界を技術的に解決する狙いがある。心拍数は運動時など疲労以外の要因で変動することもあるため、心電を使うことで疲労度測定の確度を上げる(写真2)。
心拍数を測定できるウエアラブル機器は多数市販されているが、心電を取るには電極を身体に密着させる必要があり、医療機関以外に出回っている機器は限られる。NTTデータは2つの方式を展示した。