カナダBlackBerryのJohn Chen会長兼最高経営責任者(CEO)は現地時間2015年1月21日、米国で繰り広げられている「インターネットの中立性」を巡る議論に関して、通信サービスだけでなくコンテンツやアプリケーション開発についても中立性を考慮するよう求める米政府への意見書を公開した。Chen氏は、多くのアプリケーションプロバイダーがiOSやAndroid向けの開発ばかりしていると、不満を露わにしている。

 米当局が進めているネット中立性に関する規則改定の取り組みでは、消費者向けブロードバンドサービスを電気通信法(Telecommunications Act)の「Title II」の規制対象となる公共サービスとして再分類しようという動きがある(関連記事:オバマ米大統領、ネット中立性の規則改定に関してFCCに圧力)。再分類の賛同者はインターネット接続事業者が特定のコンテンツを優先的に扱う「追い越し車線(ファストレーン)」が認められることがあってはならないとする一方、こうした規制はインフラへの投資意欲を妨げるとの反対意見もある。

 Chen氏は、「通信事業者は線路のようなもので、その上を走る電車を操作するのは、インターネットの世界でいえばコンテンツやアプリケーションプロバイダーだ。真にオープンなインターネットを考えるのであれば、コンテンツおよびアプリケーションにもオープン性を求めなければならない」と持論を展開。

 例として、BlackBerryのメッセージングサービス「BlackBerry Messenger(BBM)」は、BlackBerry端末以外のAppleの「iPhone」やAndroid搭載スマートフォンでも利用可能だが、Appleのメッセージングサービス「iMessage」はiPhoneでしか利用できないことを挙げた。また米NetflixもBlackBerry向けアプリケーションを提供していない。

 同氏は、多くのアプリケーションやサービスがiPhoneとAndroidユーザーだけに提供されているとし、「通信事業者に差別を禁じてもコンテンツおよびアプリケーションプロバイダーがモバイルOSを差別し続ければなんの解決にもならない」と述べた。

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