米Appleが音楽分析サービスの英Semetricを買収していたと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal米New York Times)が現地時間2015年1月21日に報じた。音楽配信サービスの強化に備えてのものと見られている。詳細な条件は不明だが「買収額は約5000万ドル」との情報(英Financial Times)もある。

 最初にこれを報じた音楽関連コンサルティングの英Music Allyは、Semetricが当局に提出した書類から、昨年10月にApple法務関連部門の幹部1名がSemetricの取締役会に加わったことを確認した。また、Semetricがロンドン市内のApple欧州事業の住所に登録を移したことも指摘している。

 Semetricは2008年に創業。同社の「Musicmetric」サービスでは、オンラインの音楽販売やストリーミング、SNSでの口コミなどを追跡し、分析データをレコード会社やアーティストの事務所などに提供している。

 Appleは昨年約30億ドルで買収した米Beats Electronicsの音楽ストリーミング配信事業「Beats Music」を従来どおり継続しているが(関連記事:AppleがBeatsの買収手続き完了、両社のストリーミング音楽事業は継続)、iOSへのバンドルやブランドの再構築を計画中だと噂されている(関連記事:Apple、買収したBeatsの音楽サービスをiOSにバンドルする計画)。

 Semetricの分析技術を統合することで、Appleは音楽サービスをアーティストにとっていっそう魅力的なものにするのが狙いだとメディアらは見ている。Appleに問い合わせたところ、「Appleはときおり、より小規模な技術企業の買収を実施するが、我々は通常、その目的や計画についてコメントしていない」との定型コメントしか得られなかったという。