低価格動画作成サービス「Shakr(シェーカー)」を運営する韓国シェーカーメディアが2014年12月までにベンチャーキャピタル(VC)の米SVフロンティアから出資を受けいれたことが本誌取材で明らかになった。出資金額は数千万円と見られ、シェーカーは今年度内に日本支社を立ち上げる予定。

 シェーカーは約600種類のテンプレートを用意するクラウド型の動画作成ツール。任意の写真や動画をアップロードするだけでサービスや商品、イベント紹介などの動画CM素材を作成できる。作成自体は無料だが動画に透かしが入る。料金を支払えば透かしが取れ、ダウンロードして自社サイトやソーシャルメディアなどに活用できる仕組みだ(下の動画)。価格は500円から7000円程度と、低価格なのが特徴。韓国では動画制作に費用をかけられない中小企業や小売店を中心にサービスの利用が広がっている。

 韓国語版、中国語(繁体字・簡体字)、英語版に加えて日本語版を開設済み。日本語版では「アプリ&ゲーム」「宿泊&不動産」「自動車」など広告用のテーマを8つ用意。そのほか「ウェディング」「学校&学習塾」など個人用のテーマ素材も一部用意している。動画制作用のテンプレートはデザイナーが作成して公開する仕組みで、売り上げの7割をデザイナーに分配する。

 シェーカーメディアは2010年10月に創業。これまでに米500スタートアップスや韓国NHNインベストメント、韓国ポスコ・ベンチャー・キャピタルなどが出資してきた。SVフロンティアは出資に加え、同社の日本進出を支援する。特に国内でテンプレートを制作するデザイナーの募集に力を入れたい考えのようだ。

 サイバーエージェントが2014年10月21日に発表した「国内動画広告の市場動向調査」によれば、2014年におけるインターネットを通じて配信される動画広告市場規模は対前年比2倍の311億円。広告出稿企業も自動車、化粧品、家電業界からゲーム業界まで徐々に拡大しており、2017年には約800億円まで市場が拡大すると予測している。Shakrのような低価格の動画広告作成ツールの利用が広がれば、動画広告市場はさらに拡大する可能性もある。