日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)は2015年1月6日と2014年12月22日、「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」を開催。日本版IFRS(国際会計基準)、J-IFRSとも言われる「修正国際基準(JMIS=ジェイミス)」の公開草案に寄せられたコメントに対する対応を検討した。草案は14年7月に公開、10月末までコメントを募集していた(関連記事:姿を現した日本版IFRS、IT各社は新たなビジネスチャンスに期待)。

 作業部会では2014年11月21日に開催した第18回会議(関連記事:「日本版IFRS」最終化に向けASBJが作業部会、日本基準との関係で議論白熱)以降、寄せられたコメントについて、修正国際基準の作成の意義の再検討や、今後の修正国際基準に対するエンドースメント手続きの進め方、IFRSから修正・削除した項目の考え方などを確認。2015年1月6日に開催した第20回会議でも議論は終了せず、親委員会での審議を経て、再び作業部会でコメントへの対応を検討することになった。

エンドースメントの意義は「意見発信」のみか

 作業部会で大きな議論になった一つが、修正国際基準を作成するためのエンドースメント手続きの意義だ。公開草案では、IFRSの設定主体であるIASB(国際会計基準審議会)が公表したIFRSを、日本企業が受け入れられるかどうかを検討するエンドースメントの意義として、以下の三つを挙げている。

  1. 日本から望ましいIFRSのあり方を提示する意見発信の役割
  2. エンドースメント作業を経た修正国際基準を公表することにより、日本企業がIFRSを柔軟に受け入れやすくなる
  3. IFRSを採用する企業に参考になるガイダンス・教育文書の開発に寄与できる

 この内容に対して、「修正国際基準の発表が、すでにIFRSを任意適用している企業に影響するのではないか」といった主旨のコメントが寄せられた。そこで事務局(ASBJ)は作業部会で、1の意見発信の役割のみにすることを提案した。  これに対し、作業部会の委員は反対意見を続々と出し、再び1から3の三つの意義を盛り込むかどうかで議論を継続することになった。