図1●デモの様子
図1●デモの様子
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 容量1Gバイト以上の映画データを数秒で無線転送する。そんなデモを米Qualcomm社が「2015 International CES」で披露した。60GHzを使って通信を行う無線LANの規格「IEEE802.11ad」を用いて実現した(図1)。

 IEEE802.11adは、規格上は最大で6.76Gビット/秒の通信が可能な高速無線技術である。Qualcomm社は、IEEE802.11ad対応のICを開発しているイスラエルWilocity社を2014年7月に買収している(関連記事)。

 今回のCESでQualcomm社は、IEEE802.11adに関連した2つのデモを披露した。1つは、2.4GHz帯および5GHz帯を使った「IEEE802.11ac」とIEEE802.11adを組み合わせたトライバンド(2.4GHz、5GHz、60GHz)のシステムの実演。3つの周波数帯域を切り替えて通信する様子を見せた(図2)。会場のデモでは、IEEE802.11adによる通信は1.5Gビット/秒以上の通信性能を出していた。Qualcomm社PresidentのDerek K. Aberle氏によれば、「トライバンドに対応するアクセスポイントは2015年の後半に登場する見通し」という。

 もう1つは、キオスク端末からタブレット端末に新聞や雑誌、漫画、映画、テレビ番組などを無線転送するもの(図3)。これはフランスOrange社と共同で、空港で実証実験を進めているシステムで、飛行機への搭乗前に映画などをタブレット端末にダウンロードするといった用途を想定している。実際のデモでは、1Gバイトを超える容量の映画データを10秒以内に無線伝送する様子を見せた。

図2●IEEE802.11adに対応した無線通信モジュールとIC
図2●IEEE802.11adに対応した無線通信モジュールとIC
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図3●フランスOrange社と試作したキオスク端末
図3●フランスOrange社と試作したキオスク端末
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