4K(4K×2K、3840画素×2160画素)関連のテレビやコンテンツなどに関する技術仕様を策定する業界団体が船出する。映画や家電、動画配信などの大手企業12社が設立した。仕様策定の対象は、主に高品質版の4Kコンテンツや、それを表示するテレビ関連の技術である。米国ラスベガスで2015年1月6日(現地時間)に開幕した「2015 International CES」に合わせて公表した。

CESでは、大手テレビメーカーがHDR関連の技術を出展した。写真は、Samsung Electronics社のUHD Allianceに関する展示
CESでは、大手テレビメーカーがHDR関連の技術を出展した。写真は、Samsung Electronics社のUHD Allianceに関する展示
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 コンテンツ制作から配信、表示までの段階で一貫した基準を固めることで、コンテンツやテレビ関連の画質の水準を消費者に保証できる環境を整える。この1年で出荷台数を大きく伸ばしている4Kテレビの普及を、さらにてこ入れすることを目指す。

 業界団体の名称は「UHD Alliance」。UHDは、4K映像を指す「Ultra High Definition」の略称である。当初の参加企業の顔ぶれは豪華だ。映画業界から米Walt Disney Studio社と米Twentieth Century Fox社、米Warner Bros.社の3社、配信サービスから米DIRECTV社と米Netflix社の2社、家電メーカーから韓国Samsung Electronics社とシャープ、パナソニック、ソニー(Sony Visual Product社)、韓国LG Electronics社の5社、映像技術関連から米Dolby Laboratories社とフランスTechnicolor社の2社で、合計12社が参加する。

消費者が4Kの価値を認識できない

 団体設立の背景には、テレビをはじめとする4K関連機器で品質の低い製品が市場に多く出回ってしまうことへの危機感がある。単に高解像度にしただけの製品では、消費者が4Kの価値を認識できない状況が生まれる可能性があるからだ。

 例えば、ピーク輝度を拡張して画質を高めた映像「HDR(high dynamic range)」が、この1年ほどコンテンツ企業や配信事業者、テレビメーカーの間で大きな関心事になっている。HDRはピーク輝度を、テレビの従来機種で標準的な100cd/m2から1000~1万cd/m2程度に広げた映像のことを指す。光の反射や青空、明るい太陽といった映像シーンの表現力をこれまでよりも格段に高められるため、特にコンテンツ業界が大きな関心を抱いている。

 消費者にHDR映像を届けるにはコンテンツだけでなく、テレビ側でも同様に映像表示のピーク輝度を高める必要がある。ただ、テレビ側でこれを実現する処理は、今のところ各メーカーの裁量に任されている。このため、コンテンツ企業がHDR映像の提供を始めても、テレビに表示する際にHDR対応とは言えない状況が生まれやすい。

 UHD Allianceでは、HDRをはじめとする画質を高める技術が4K関連のテレビやコンテンツの本格普及に欠かせないと見て、まずは一定の基準を策定し、それを満たしたテレビやコンテンツを認証する仕組みを導入する計画。同団体は参加企業が今後さらに増えると見ている。今後数カ月の間に技術ロードマップを検討する会合を開く予定だ。