写真1●シンクライアントソリューション「TZCS」
写真1●シンクライアントソリューション「TZCS」
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写真2●HDDを搭載しないことをブース展示で示した
写真2●HDDを搭載しないことをブース展示で示した
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写真3●既存の主要VDI製品に対応し、管理用マシンを置くだけで利用できる
写真3●既存の主要VDI製品に対応し、管理用マシンを置くだけで利用できる
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 東芝は、2015年1月6日(現地時間)から米ラスベガスで開催中の「2015 International CES」に出展したブースにて、ストレージを搭載しないノートPCでVDI(デスクトップ仮想化)を利用できるシンクライアントソリューション「TZCS」を展示した(写真1)。2015年3月末より、ソリューションとして提供する。

 TZCSは、2014年11月に国内で発表したもの。CES2015に展示し、改めて海外市場に訴求した。TZCS対応のノートPCは、HDDやSSDなど一切のストレージを搭載しない。この特徴を示すため、ブースでは底面を透明にしたノートPCを展示した(写真2)。

 TZCS対応ノートPCは特殊なBIOSを搭載しており、起動時に社内ネットワークに接続。VDIクライアントの起動に必要な最低限のシステムファイルをダウンロードし、RAMディスクに展開する。これにより、ストレージの無いノートPCでVDIクライアントのログイン画面を表示できるようにした。

 「起動時に有線LANを用いてネットワークブートできる機能は従来もあった。BIOSから直接無線LAN(Wi-Fi)に接続できる点はTZCSのユニークな機能」(ブース担当者)と説明する。

 ストレージを搭載しないため、運用時にはクライアントPCのメモリー上に最小限のデータのみが保存される状態になる。これにより盗難や紛失時でも、安全に運用できるという。あらかじめ設定した一定範囲内からノートPCが持ち出された場合に、強制的にシャットダウンしてメモリーを消去する機能も備える。

 VDI用のサーバー製品としては、米シトリックス・システムズの「XenDesktop」、米ヴイエムウェアの「Horizon」、米マイクロソフトの「Microsoft VDI」などに対応。「TZCSの管理用仮想マシンを追加するだけで利用できるため、さまざまな業務環境に対応可能」(ブース担当者)とメリットを語った(写真3)。

 他のシンクライアントソリューションと比べたメリットとして、ノートPCの強力なプロセッサを活用できる点があるという。「VDIでは、サーバー上の仮想マシンに接続するため、クライアントPCの性能は関係ないと思われがちだ。しかし運用している現場からは、高性能なノートPCの方が画面の書き換えがスムーズという声が多い」(ブース担当者)。

 TZCSの導入には、新たにHDD非搭載の東芝製ノートPCを購入する必要がある。「既存のノートPCのHDDを取り外してTZCSに対応させることも不可能ではないが、保証の問題もあり、難しい」(ブース担当者)という。

 現在は社内での利用を想定しているが、「盗難や紛失に強い点を生かして、出先からリモートアクセスしたいといった需要も考えられる。今後はVPNへの対応も検討している」(ブース担当者)と語った。