写真●左から、東京医科歯科大学難治疾患研究所の田中博教授(生命情報学)、国立循環器病研究センターの橋本信夫理事長、富士通の合田博文未来医療開発センター長、同山本正已社長、国立がん研究センターの堀田知光理事長、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長
写真●左から、東京医科歯科大学難治疾患研究所の田中博教授(生命情報学)、国立循環器病研究センターの橋本信夫理事長、富士通の合田博文未来医療開発センター長、同山本正已社長、国立がん研究センターの堀田知光理事長、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長
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 富士通は12月24日、4つの医療機関とそれぞれ共同研究に関する協定を結んだと発表した。都内ホテルで行われた記者会見で、同社の山本正已社長は「医療、交通、農業などの分野へ、ICTビジネスの領域を拡大していきたい。医療は特に大きな革新が見込める分野で、2013年12月に未来医療開発センターを設立した。4つの高度医療期間と提携するにあたって、当社からはセキュリティ、ビッグデータ、クラウドの分野を中心に、高度な技術力を提供したい」と抱負を述べた。

 提携する医療機関は、国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立長寿医療研求センター(いずれも独立行政法人)、東京医科歯科大学。それぞれ、がん治療の研究に必要なゲノム情報と診療情報の統合、生活習慣データの収集・解析、認知症の早期発見システムの構築、オミックス(生体分子情報)を統合したデータベースや解析技法の確立と医師診断支援機能を持つゲノム電子カルテの開発、をテーマに共同研究を進める。2015年3月くらいまでには、内容をより具体化して研究を開始する予定としている。

 記者会見に出席した国立循環器病研究センターの橋本信夫理事長は、「塩分摂取量を2グラム減らせば、年間の死亡者数が2万人減ると言われている」と指摘。「(収集した)生活習慣データをビッグデータ解析して得られた結果を基に、血圧を下げるための効果的な介入の実現を期待している」と述べた。

 富士通の合田博文未来医療開発センター長は、センターの主なミッションを(1)次世代医療情報システムビジネスの開拓、(2)医療ビッグデータビジネスの創出、(3)生体シミュレーションビジネスの事業化推進、(4)IT創薬の事業化推進、(5)電子カルテなどのグローバル展開、の5つ紹介。「既にIT創薬の分野では、がんを標的にする化合物の創出に成功した。健康長寿社会の実現に向けて、今回の共同研究を進めて行きたい」と説明した。