米国外に保存されているデータの提出を求める米当局に米Microsoftが反発している問題で、アイルランド政府がMicrosoftを支持するアミカスクリエ意見書(訴訟の当事者でない第三者が提出する意見陳述書)を提出したと複数の米メディア(New York TimesWall Street JournalPCWorldなど)が報じた。

 アイルランド政府は現地時間2014年12月23日に米国の第2巡回区連邦控訴裁判所に提出した同意見書で、「米国の裁判所は他国の主権を尊重するべきだ」と述べている。また、両国間で刑事事件の捜査に必要な証拠の提供に関して協力し合うことを定めた刑事共助条約のもとで、正式な手続きを通じて米当局から要請があれば、即座に対応を検討する姿勢を示した。

 Microsoftは2013年12月に、麻薬捜査の一環として顧客の電子メールや記録を開示するよう米当局から捜査令状を受け取ったが、対象の電子メールがアイルランドのダブリンにあるサーバーに保存されていることから、権限の範囲外だとして令状の取消を要求。当局と法廷で争ったが、ニューヨーク州南部連邦地方裁判所は2014年7月、捜査令状は有効だとしてMicrosoftの主張を退ける判決を下した(関連記事:米地裁、Microsoftに国外保存の電子メールデータの提出を命令)。

 Microsoftは地裁の判決を不服として上訴。米Appleや米Amazon.comを含む28社の企業のほか、多数の団体個人がMicrosoftを支持する意見書を今月提出している(関連記事:AppleなどがMSを支持、米国外保存のデータに対する開示命令の問題で)。

 Microsoftは、電子メールやテキストメッセージといった新しいデジタル形式での個人的な会話にはより厳格な法的保護が適用されるべきだとし、米検察当局の要請に従うことは米国とアイルランド間の条約を無視し、アイルランドの主権を踏みにじることになると述べている。