ソニー傘下の米国法人Sony Pictures Entertainment(SPE)は、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺計画を題材にしたコメディー映画「The Interview」について、公開中止の方針を覆したと、複数の海外メディア(英Reuters米Wall Street Journal米New York Timesなど)が報じた。一部映画館で予定通り現地時間2014年12月25日に公開する。

 The Interviewを巡っては、これが原因とされるサイバー攻撃が先月SPEに対して行われ、未公開映画のファイルや最高幹部の電子メールなど大量の情報が流出した。さらに同作品を上映予定だった劇場に「9.11を思い出せ」との文言を含む脅迫メールが送られ、SPEは12月17日に同作品の公開中止を決定した(関連記事:ソニーピクチャーズ、問題の映画「The Interview」を公開中止)。

 米ホワイトハウスは一連の脅威の責任が北朝鮮政府にあると断定し、Barack Obama米大統領は12月21日放送の米CNNのインタビューで、脅迫に負けたSPEの決定を「間違い」と批判した(関連記事:米大統領がサイバー攻撃への北関与を断定、テロ支援国家再指定を検討)。

 今回SPEが公開中止を撤回したことを受け、ホワイトハウスのEric Schultz報道官は声明で「ソニーおよび参加する映画館の決定により、人々は同作品について自身で行動を選択できる。我々はこの結果を歓迎する」と述べた。

 またSPEのMichael Lynton最高経営責任者(CEO)は、「我々はThe Interviewの公開を断念したことはない。最大限多くの人々にこの映画を見てもらえるよう、映画館以外での提供や、より多くの映画館への配給を検討している」と述べた。

 同作品の主演俳優Seth Rogen氏は「人々が声を上げた!自由が勝った!ソニーはあきらめなかった!」とTwitterアカウントから投稿。もう1人の主演俳優であるJames Franco氏も「勝利だ!人々と大統領の声が届いた!」とツイートしている。

 The Interviewは、小規模な映画館の200~300スクリーンで上映される見通し。当初は2000~3000スクリーンでの上映を予定していた。同作品はビデオオンデマンドで配信されるとの噂も出ているが、SPEの確認はとれていない。