「The Interview」のWebサイト
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 Barack Obama米大統領は現地時間2014年12月19日、ソニー傘下の米国法人Sony Pictures Entertainment(SPE)に対するサイバー攻撃は北朝鮮政府によるものとの見方を示し、対抗措置を講じる考えを明らかにした。複数の海外メディア(英Reuters米New York Times米Wall Street Journalなど)が報じている。また、SPEの映画公開中止の決断は脅威に屈したものだとして、「SPEはミスを犯した」と批判した。

 大統領の会見に先立ち、米連邦捜査局(FBI)は「SPEに対する攻撃の責任が北朝鮮政府にあると判断する十分な情報を得ている」と正式に発表。SPEのコンピュータのデータを削除したマルウエアが、過去に北朝鮮が使用したとみられる別のマルウエアに似ていることや、北朝鮮が関与しているとFBIが認識している、2013年3月の韓国銀行およびメディアに対するサイバー攻撃と類似点があることなどを理由として挙げた。

 SPEは、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺計画を題材にしたコメディー映画「The Interview」を12月25日に公開する予定だったが、12月17日に公開中止を正式決定した(関連記事:ソニーピクチャーズ、問題の映画「The Interview」を公開中止)。同社は11月下旬にサイバー攻撃を受け、未公開映画のファイルや最高幹部の電子メールなど大量の情報が流出。さらにThe Interviewを上映予定の映画館に「9.11を思い出せ」との文言を含む脅迫メールが送られ、多数の劇場が同作品を上映しない方針を表明していた。

 同サイバー攻撃に北朝鮮が関与している可能性は当初から指摘されており、12月17日には「米捜査当局は北朝鮮が中心的に関与していると判断した」と報じられた。ホワイトハウスのJosh Earnest報道官は翌日、北朝鮮の責任について明言を避けながらも、「相応の対処を検討中」であることを明らかにした(関連記事:ホワイトハウス、ソニーへのサイバー攻撃に「相応の対処を検討中」)。

 また、Obama大統領は12月21日放送の米CNNのインタビューで、「SPEへの大規模ハッキングは戦争行為ではないが、サイバー世界での破壊行為だ。それ相応の措置を講じる」と述べ、「北朝鮮の単独犯行のようだ」との見解を示した。具体的な措置については、1つの選択肢として、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するかどうか検討していると述べた。専門家はそのほか、サイバー空間での報復、経済制裁、攻撃に関係した個人の刑事告発、韓国への軍事援助拡大といった選択肢を挙げている。

 一方北朝鮮政府はいっさいの関与を否定。国営の朝鮮中央通信を通じて12月21日、「北朝鮮は、ホワイトハウス、米国防総省、テロの巣窟である米本土に対して、Obama大統領が表明した『相応の措置』をはるかに上回る強硬な対抗戦を行う」と述べている。