日本ケーブルテレビ連盟は2014年12月18日、電気通信事業法第172条の規定に基づき、NTT東西による光回線の「サービス卸」に対し、約款の作成と公表などを求める意見申出書を総務大臣宛てに提出した。連盟の意見書では、携帯電話の販売で問題になったような過度のキャッシュバック競争に巻き込まれる可能性があることに強い懸念を示している。

 連盟の意見書では、「卸電気通信役務であっても相互接続と同等の事前認可とし、約款の作成、公表の義務化」「サービス卸を通じた不当なNTTグループ連携が行われないために適切に監視しチェックする体制の整備」「過度のキャッシュバックを規制する仕組みあるいは具体的な監視の方法を構築すると共に、事後に発動される業務改善命令制度とは異なる予見的な行政指導などの手順を講じる」などを求めている。

 約款の作成・公表の義務化や、不当なグループ間連携に対する適切な監視体制整備といった内容は、KDDIの要望書とも共通的な要素だが、過度のキャッシュバックを規制する仕組みなどを要求する三つ目の内容は、この業界独自のものである。

 背景には、大手通信キャリアと本格的なキャシュバック競争に陥ると、経営規模が圧倒的に小さいケーブルテレビ事業者は太刀打ちできず、一気に市場から淘汰されかねないという危機感がある。「特に携帯電話事業者が参入すると、大きな顧客基盤や圧倒的な資金力を背景として、過度のキャッシュバックあるいはパッケージディスカウント等により、利用者に提供される料金の適正性が実質的に損なわれ、固定通信市場における公正な競争を歪め、携帯電話事業者による固定通信市場の市場支配を招く虞がある」と指摘する。

 キャシュバック競争が過熱していったん顧客が奪われると、ケーブルテレビの事業規模では建て直しは厳しい。このため、たとえ事後に業務改善命令が発令されても効力を発揮しないと考え、事前に予見的な措置を求める内容となっている。

 なお、電気通信事業法第172条に基づく意見申出書は、受理した後に総務省で調査などを行った上で、処理の結果について、申し出た者に通知することになっている。