ソニー傘下の米国法人Sony Pictures Entertainment(SPE)が脅迫に見舞われた新作映画「The Interview」の公開中止を決定したと、複数の米メディア(New York TimesWall Street JournalCBS Newsなど)が現地時間2014年12月17日に報じた。同作品は12月25日に公開される予定だった。

 SPEの正式決定に先立ち、複数の大手劇場チェーンがThe Interviewを上映しない方針を表明していた。これら劇場チェーンが運営する映画館は全米で1万9200スクリーンに及ぶという。

 SPEは12月17日に発表した声明で「当社はパートナーの判断を尊重し、理解している。もちろん、従業員と映画ファンの安全を最優先する方針を共有している」と述べた。また、「映画配給を抑圧し、当社および当社従業員、米国民に損害を与えるこのような恥知らずな行動に、我々は深い悲しみを覚える。我々は映画制作者とその表現の自由の権利を支持しており、この結果に極めて落胆している」と憤りを示した。

 問題のThe Interviewは北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺計画を題材にしたコメディー映画で、これが原因でSPEは先月サイバー攻撃を受けたと見られている。サイバー攻撃を実行したハッカー集団は、同社から盗んだデータをオンライン上で公開したほか、同作品の上映を予定していた劇場に脅迫メールを送った(関連記事:ソニー映画「The Interview」上映予定の劇場にハッカー集団が脅迫)。脅迫メールには「The Interviewが上映されるまさにその時その場所」で映画を見に来た人々が悲惨な運命をたどると書かれ、「9.11を思い出せ」という言葉が加えられているという。

 SPEに対するサイバー攻撃は「Guardians of Peace」の犯行と見られており、北朝鮮が関与していると指摘する声も多い(関連記事:ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃、北朝鮮が関与か)。