米国のクラウド事業者であるラックスペースホスティングは2014年12月16日(米国時間)、米IBMの「POWER」プロセッサの仕様をオープンにする団体である「OpenPOWER Foundation」に加盟し、サーバーハードウエアの設計図をオープンソース化する団体の「Open Compute Project」を通じてPOWERプロセッサ搭載サーバーを開発すると発表した。

 OpenPOWER Foundationは、IBMや米グーグル、米エヌビディアなどが2013年に設立した業界団体である。IBMは同団体の加盟企業に対してPOWERの知的財産を提供しており、IBM以外の企業がPOWERプロセッサ搭載サーバーを開発できるようになった。既にグーグルは2014年5月に、POWERプロセッサを搭載したマザーボードを公開している(関連記事:「きっかけはグーグルからの提案だった」――米IBM幹部が語るPOWERオープン化の狙い)。

 ラックスペースは同日公表したブログで、「クラウドのパフォーマンスを向上する上で、チップやメモリー、ストレージにまでコミットする必要が生じるようになった」と述べ、プロセッサやファームウエアの設計に関与できるようになることが、OpenPOWER Foundationに加盟するメリットだと説明している。

 ラックスペースは現在、OSを搭載しない物理サーバー(ベアメタルサーバー)をサービスとして提供する「OnMetal Cloud Servers」というサービスに注力している。同サービスを実現する上では、クラウド構築ソフトの「OpenStack」を使って物理サーバーのファームウエア(BIOS)をコントロールする必要がある。クラウド事業者にとってサーバーのファームウエアをコントロールできるようになることの重要性が高まっていると言えそうだ。

 ラックスペースは18カ月前からOpenPOWER Foundationの加盟企業と協業を進めており、今後数カ月内にPOWERプロセッサ搭載サーバーの開発を完了できるとしている。