ソニー傘下の米国法人Sony Pictures Entertainment(SPE)が製作した新作映画「The Interview」を上映予定の劇場が、現地時間2014年12月16日にハッカー集団から脅迫を受けたと、米メディア(Wall Street Journal)が報じた。同ハッカー集団は、SPEから入手したとする大量のデータも公開したという。

 SPEは先月サイバー攻撃を受け、社内のコンピュータが乗っ取られた。コンピュータの画面には、赤いどくろが薄笑いを浮かべたイラストと「Hacked By #GOP(GOPが乗っ取った)」の文字が表示され、「要求に応じなければ盗んだSPEの内部データを世界に公開する」との内容が記載されていた。「GOP」はサイバー攻撃集団「Guardians of Peace」のことだと見られている。

 The Interviewが公開を控えたタイミングでの攻撃だったことなどから、北朝鮮の関与を指摘する声が多い。同映画は、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺計画を題材にしたコメディーで、北朝鮮の国営放送は米国と同映画を上映する他の国に対して「無慈悲な報復」を予告している(関連記事:ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃、北朝鮮が関与か)。

 劇場への脅迫メッセージには、「The Interviewが上映されるまさにその場所で、映画を見に来た人々がどれほど悲惨な末路となるかはっきりと見せてあげよう」と書かれているという。

 米国土安全保障省の関係者は、劇場に脅迫があったものの、これまでのところ「米国内の映画館に対して実際に攻撃が計画されていることを示す確かな情報はない」と述べている。

 The Interviewは12月11日にロサンジェルスでプレミア試写会が開かれており、12月25日に一般上映される予定。

 なおハッカー集団が公開したデータファイルには、SPEのMichael Lynton会長兼最高経営責任者(CEO)の受信箱から流出した大量の電子メールが含まれているという。