総務省は2014年12月9日、情報通信審議会から、「ケーブルテレビシステムの技術的条件」(平成18年9月28日付け諮問第2024号)のうち「ケーブルテレビにおける超高精細度テレビジョン放送の導入に関する技術的条件」について一部答申を同日に受けたと発表した。

 情報源符号化方式については、映像符号化方式として「ITU-T勧告H.265(HEVC)」を、映像フォーマットとして「ITU-R勧告BT.2020(UHDTVフォーマット、色域)」を、音声符号化方式として「MPEG-4 AACおよびMPEG-4 ALS」をそれぞれ追加した。多重化方式には「MMT・TLV」を、スクランブル方式として「AESおよびCamellia」を採用している。BS放送およびCS放送で追加された規定と同一のものをケーブルテレビでも採用した。

 FTTH方式によるケーブルテレビを対象とする衛星基幹放送のパススルー伝送に関する項目では、例えば受信者端子における信号搬送波の条件を規定した。16APSK信号でのCN比(搬送波と雑音のレベル比)が符号化率7/9以下の場合は「13dB以上」、符号化率9/10以下の場合は「17dB以上」とした。一方、ヘッドエンド入力端子におけるCN比は符号化率7/9以下では「15dB以上」、符号化率9/10以下の場合は「21dB以上」としている。

 既存のデジタル有線テレビジョン放送では、現行のデジタル有線テレビジョン放送方式(ITU-T勧告J.83 Annex C)を活用する。64QAMでは約29Mbps/6MHz、256QAMでは約38MHz/6MHzの伝送が可能である。UHDTVの4Kフォーマットまでを基本とする。現行のケーブルテレビの放送サービスとの相互運用性をできる限り確保し、既存の設備等を最大限活用することで、ケーブルUHDTV放送サービスの早期の導入および運用を可能とする。

 6MHz幅の複数のチャネルを束ねて利用する複数搬送波伝送方式のための規定も盛り込まれた。例えばBSの34.5MHz幅の帯域(変調方式は16APSK)を使って実現する100Mbpsを3分割して33Mbpsの4K放送が行われたとする。このとき、ケーブル側は64QAMを使うと29Mbps/6MHzなので、1チャンネルでは伝送できない。そこで、もう1チャンネルを使い不足する4Mbpsのデータを分割送信し、受信側で合成する。余った帯域を使って24Mbpsで既存のハイビジョン放送を送信できる。後方互換性を保ち、ハイビジョン放送は既存のSTBでも受信できる。

 複数搬送波伝送方式は8Kフォーマットまで対応する。規定項目として、「送信側で大容量信号を分割して複数の搬送波(64QAMまたは256QAM)で伝送し、受信側で同期合成できるフレーム構成」などを追加した。

 高度なデジタル有線テレビジョン放送方式に関する項目では、サブキャリア変調方式として256QAM、1024QAM、4096QAMとするOFDM変調技術を採用した。6MHz幅での伝送容量を超える8K放送について、複数のチャンネルを連結して12MHz幅を一つのチャネルとして伝送することで対応する。

 現在、「放送サービスの高度化に関する検討会」が策定したロードマップに沿って4Kの試験放送が衛星放送、ケーブルテレビ、IPTVにおいて行われており、2014年9月には新たに取りまとめられた「4K・8K推進のためのロードマップ」が公表された。これを踏まえ、情報通信審議会 情報通信技術分科会 放送システム委員会は2014年8月から、ケーブルテレビの4K・8K放送に必要な技術的条件について検討を進めていた。

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