Amazon.comがバイクメッセンジャー(自転車便)を使った商品配送サービスを計画しており、その実験を米ニューヨーク市で行っていると複数の米メディア(The VergeBusiness Insiderなど)が現時時間2014年12月8日、米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 事情に詳しい関係者の話によると、新サービスの名称は「Amazon Prime Now」。マンハッタン地区の顧客に商品を1~2時間で配達し、実店舗を持つライバル企業の利便性に対抗すると、Wall Street Journalは報じている。

 Amazon.comは、エンパイアステートビル近くにあるビル一棟を17年間借りる契約を結んだ。最近は午後になると、このビルの裏手から大勢のバイクメッセンジャーがそろって出てくる光景が見られるという。Amazon.comは少なくとも3社のバイクメッセンジャー業者と実験を行っている。その中から最も迅速、丁寧に荷物を運ぶ業者を選定したい考えという。

 Wall Street Journalによると、Amazon.comは実店舗の小売業者よりも多くの在庫を持ち、低価格で商品を提供する業者として知られている。だが、即座に商品を求める顧客をめぐる競争においては苦戦している。そうした中、百貨店のMacy'sや大手スーパーのWal-Mart Storesも即日配送サービスを手がけるようになってきた。

 Amazon.comは、米国の十数都市で即日配送サービスを行っている。今回のバイクメッセンジャーのサービスは、さらに配送時間を短縮し、利便性を高めるという戦略の一環。例えば同社は、都会の配送センターの数を増やしているほか、食料品の即日配達サービスを拡大している。また商品受け取りロッカーを設置したり、自前配送トラックのネットワークを構築したりしている。

 このほか、同社はドローン(小型無人飛行機)を使った配送システムの実験を行っている。今年11月には、タクシーを利用した配送サービスを検討していると伝えられた(関連記事:Amazon.comが新たな配送手段をテスト、今度はタクシー)。