富士通は2014年12月8日、地方銀行などの地域金融機関向け勘定系システムの新アウトソーシングサービスを同日付けで販売開始したと発表した。同社が保有するメインフレーム基盤上に各金融機関の勘定系アプリケーションを移行し、保守・運用サービスを提供する。独自のアプリケーションを継続利用しつつ、インフラ基盤を共有化することでコスト効率化を図れるのが特徴。年間100億円の売り上げを目指すという。

 今回、販売するのは、「FUJITSU Financial Services Solution FSPS(FSPS)」と「FUJITSU Financial Services Solution FSPS-DR(FSPS-DR)」の二つのサービス()。

図●FSPSとFSPS-DRのシステム構成イメージ
図●FSPSとFSPS-DRのシステム構成イメージ
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 FSPSは、勘定系アプリケーションの稼働基盤を提供するとともに、システム構築から保守・運用までを請け負うアウトソーシングサービスだ。2017年1月に提供を開始する。FSPS-DRでは、勘定系元帳データのリアルタイムバックアップや緊急時の復旧作業支援などを手掛ける。2015年9月に提供開始予定だ。価格はいずれも個別見積もりとなる。

 FSPSの利用イメージは次のとおりである。富士通のメインフレーム基盤を仮想的に分割し、各金融機関が利用する既存の勘定系アプリケーションを移行させる。移行先となるのは、富士通が所有する東西データセンター(DC)だ。平日と休日とで本番サイトを両DC間で切り替えてシステムを運用する。緊急時には2時間以内に本番サイトを切り替え、業務を継続できるという。移行した勘定系システムは、富士通がメインフレーム基盤からアプリケーションまでを一括して保守・運用を担う。

 金融機関は自前でメインフレームを持つ必要がなく、保守・運用業務を任せられるため、勘定系システムにかかるコストや手間を削減できる。BCP(事業継続計画)対策も同時に整備することが可能だ。同社によると、開発、保守、運用費用を最大で4割減らすことができるという。

 FSPS-DRでは、緊急時専用のメインフレーム基盤を提供する。各金融機関の勘定系システムが持つ元帳データをリアルタイムでバックアップしておき、金融機関の勘定系システムに異常が発生した際は、富士通の緊急時専用基盤に切り替えてアプリケーションを利用できる。データ消失は、数秒程度に抑えられるという。業務復旧のための作業支援も合わせて請け負う。