写真1●(左から)セールスフォース・ドットコムの川原均取締役社長兼COO、Sansanの寺田親弘代表取締役社長、南俊行・政策統括官(情報通信担当)
写真1●(左から)セールスフォース・ドットコムの川原均取締役社長兼COO、Sansanの寺田親弘代表取締役社長、南俊行・政策統括官(情報通信担当)
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写真2●徳島県神山町にある「Sansan神山ラボ」。古民家をそのまま利用している(出典:SansanのWebサイト)
写真2●徳島県神山町にある「Sansan神山ラボ」。古民家をそのまま利用している(出典:SansanのWebサイト)
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 「徳島県の山間部にオフィスを作った目的は、あくまでエンジニアの生産性向上だった。その後、移住や現地雇用などの形で、結果的に地方活性化につながった」

 名刺管理クラウドサービスを提供するSansanの寺田親弘代表取締役社長は、セールスフォース・ドットコムが2014年12月4日に開催した顧客企業向けのイベント「Salesforce World Tour Tokyo」の中でこう話した(関連記事:「顧客との関係強化こそ勝ち残りの鍵」、セールスフォースのベニオフCEO)。

 イベントでは「地方創生を支援するクラウドサービスとワークスタイルイノベーション」と題するセッションがあり、寺田社長と総務省の南俊行・政策統括官(情報通信担当)が対談。現政権の看板政策とされる「地方創生」とIT活用について話し合った(写真1)。司会はセールスフォースの川原均取締役社長兼COOが務めた(関連記事:Salesforceの地方自治体営業戦略が転換点、“臨時クラウド”脱却へ)。

鉄道も高速道路もない過疎地に進出

 Sansanは東京都港区に本社を置き、企業向けの名刺管理・営業支援サービスで急成長している(関連記事:IT×人力の名刺管理で世界へ 寺田親弘氏)。2010年、徳島県神山町に「Sansan神山ラボ」を開設した。

 神山町は人口約6000人で、1970年代から人口が半分以下に減った典型的な過疎地である。鉄道や高速道路は通っておらず、徳島市中心部から車で50分かかる。

 Sansanの寺田社長は「東京で毎日満員電車で通勤するエンジニアを見て、働き方を変えられないかと考えていた。そんなときに、光ファイバーのインフラが充実し、豊かな自然もある神山町のことを聞きつけて、進出を決めた」と説明する。「Sansan神山ラボ」は古民家を借り受けたもので、看板などもなく、オフィスというイメージからかけ離れている(写真2)。