アプレッソは2014年12月5日、EAI(データ連携)ソフトの新版「DataSpider Servista 3.2」を発表した。12月19日に出荷する。新版では、Amazon Redshift連携を追加するなどAmazon Web Services(AWS)との連携機能を強化したほか、SAP ERPの基幹データについては差分抽出によって連携を高速化した。

 DataSpider Servistaは、アプレッソが開発/販売しているEAIソフトである(関連記事:アプレッソ、EAIのDataSpiderに検索ソフト「Sedue」用アダプタを追加)。データベースやWebサービスなどの複数システム同士を、スケジュール駆動やトリガー駆動などのタイミングでデータ連携させられる。システム同士のデータ連携ロジックは、マウスによるビジュアル開発で定義できる。アダプタを利用することによって、各種のデータソースやシステムに接続できる。

 新版では、AWS用の接続アダプターを強化した。これまで提供していなかった接続アダプターとして「Amazon Redshiftアダプタ」と「Amazon SQSアダプタ」を追加した。さらに、Amazon RDSアダプタやAmazon S3アダプタなど、AWS用の既存のアダプターも強化した。

Redshift(DWH)とSQS(キュー)に対してデータ連携可能に

 新規に追加したAmazon Redshiftアダプタは、DWH(データウエアハウス)であるRedshiftにデータをロード(登録)できる。Amazon SQSアダプタは、メッセージキューであるSQSとの間でメッセージを送受信できる。SQSを経由してDataSpiderの処理を実行することも可能である。メッセージキューは到達性に優れるため、オンプレミスからクラウド上のDataSpider Servistaの処理を確実に起動することが可能になるとしている。

 Amazon RDSアダプタの機能強化では、これまで接続できていたMySQL 5.1に加えて、最新版であるMySQL 5.6や、各種DBMS(Oracle Database 11gR2、SQL Server 2012、PostgreSQL 9.3)に接続できるようにした。Amazon S3アダプタの強化では、格納するデータをサーバー側またはクライアント側で暗号化できるようにした。さらに、大容量データを高速に格納する手段として、ファイルを分割してS3に送信するマルチパートアップロードを可能にした。

SAP ERPからの差分抽出が可能に

 AWS連携のほかの機能強化としては、SAP ERPのデータをクエリーやテーブル経由で取得可能な「SAPテーブルクエリアダプタ」を強化した。SAP ERP上で追加、更新、削除されたデータだけを取得する差分抽出機能(追加、更新、削除)を追加したことにより、大量データを連携させる際に、必要なデータだけを高速に連携できるようになった。

 使い勝手も向上させた。ユーザーインタフェースを改善したほか、やりたいことをキーワードにして検索できるサンプルスクリプト集「逆引きリファレンス」を追加した。作成したい処理や利用したい機能について検索すると、サンプルスクリプトと、その作成手順を確認できる。約100個のサンプルスクリプトを用意したという。

 DataSpider Servistaの価格(税別)は、製品構成によって異なる。必要なアダプタを選んで導入するスモールスタート型のパッケージタイプ「セレクト」の場合、EAIサーバー本体が70万円から、連携アダプタが25万円から、起動トリガーが15万円から。一方、データ連携に必要な機能を標準でパッケージ化した構成の場合、「Basic Server Package」(トリガー7種とアダプタ9種が付属)が300万円から、「Advanced Server Package」(トリガー7種とアダプタ17種が付属)が550万円から。