写真●「Yahoo!キーボード」の画面イメージ
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 「利用開始までの手続きが面倒だ」「提供エリアが狭くて切れやすいし、速度や安定性でもLTE(Long Term Evolition)回線に劣る場合が多い。わざわざ設定して利用するメリットがない」--。

 街頭や商業施設で提供される無料のWi-Fi(無線LAN)サービスを使ってみて、こんな感想を持ったユーザーは少なくないだろう。LTE回線の品質に満足しているスマートフォン利用者の中には、無料のWi-Fiサービスに接続しないよう設定している人もいる。しかし、こうした負のイメージを覆す無料Wi-Fiの進化が始まっている。

 例えば、施設内全域で途切れずに使え、観光地などでは街頭にも提供エリアを広げている。通信速度も、利用場所によっては高画質動画をなめらかに視聴できる実効速度を確保した。しかも利用手続きが簡単で、すぐに使い始められる。

 こうした進化形の無料Wi-Fiサービスの整備に動いているのが、商業施設の運営企業や交通機関、地方自治体などだ。訪日外国人の便宜を図る目的で整備したサービスが目立つが、その多くは地元市民や施設利用者にも幅広く開放されている。

 LTEで満足しているスマホユーザーでも、無料Wi-Fiサービスを無視し続けるのは得策とはいえない。進化を遂げた無料Wi-Fiの最新事情を紹介しよう。

1.4兆円の外国人消費を取り込め

 国内で無料Wi-Fiサービスを整備する動きは加速している。この1週間ほどの動きだけを見ても、12月1日には東京メトロ(東京地下鉄)と東京都交通局が共同で、訪日外国人の乗客が多い143の地下鉄駅で無料Wi-Fiサービスの提供を始めた(東京の地下鉄143駅で訪日外国人向け無料Wi-Fi、「MANTA」はサービス終了)ほか、神戸市が訪日外国人のほか日本人観光客や一般市民も利用できる無料サービス「KOBE Free Wi-Fi」の整備に着手した。12月2日からは小田急電鉄がロマンスカー車内や箱根駅で「odakyu Free Wi-Fi」を提供するなど、交通機関や自治体が続々とサービスの提供や拡大に動いている。