韓国Samsung Electronicsが経営幹部の人事を発表し、Jong-Kyun Shin(申宗均)モバイル部門責任者の続投を明らかにしたと、複数の米メディア(New York TimesWall Street Journalなど)が現地時間2014年12月1日に報じた。同社はスマートフォン事業が厳しい競争に苦闘する中、モバイル部門トップの交代が噂されていた(関連記事:Samsung、モバイル責任者の交代を検討中か)。

 家電部門責任者のBoo-Keun Yoon(尹富根)氏、半導体やディスプレイパネルなど部品担当の責任者Oh-Hyun Kwon(権五鉉)氏も現職を継続し、これら3人の共同CEOによる体制を維持する。

 Samsungはこの1年間、収益、市場シェア、株価が低下し、2014年第3四半期の決算はスマートフォンの不振が影響して前年同期比60%減益となった(関連記事:Samsung、2014年Q3業績はスマホ不振で6割減益の見込み)。

 同社は人事を発表した際、「Shin氏はSamsungが携帯電話市場で首位に立つのに大いに貢献した」と強調しており、スマートフォン事業回復の機会をShin氏に与えたものとみられる。

 またアナリストらの見方では、Kun-hee Lee(李健熙)会長の長男で次期トップと見なされているJay-yong Lee(李在鎔)副会長が、自身の立場を強固にするために父親が決めた幹部を維持することを判断した。トップ継承に向けたプロセスの中で、関連会社の売却や株式の上場など大きく変化しており、幹部の変更は動揺につながると、韓国の経済専門サイト「Chaebul.com(財務ドットコム)」は指摘している。

 一方、Shin氏の主要な部下でモバイル部門販売およびマーケティング責任者であるD.J. Lee(李燉珠)氏が退社する。さらなるモバイル部門幹部の辞任も今後発表される可能性があるという。

 そのほか、メディアソリューションセンター責任者のWon-pyo Hong(洪元杓)氏がグローバルマーケティング戦略部門の責任者に任命された。

 企業経営評価サイト「CEO Score」の代表者は今回の人事について、「Samsungは意欲的に変革を進めるよりも、基本的に現状維持に努めており、これは投資家にとって良い兆候ではない」と述べている(英Financial Timesの報道)。