写真1●IBM Verseの主な特徴
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写真2●IBM Verseの画面例
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写真3●今後の方向性
写真3●今後の方向性
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 日本IBMは2014年11月27日、電子メールの送受信やスケジュール管理などの機能を備える新しいソフトウエア「IBM Verse」の説明会を開催した。米IBMが2014年11月18日に米国で正式発表したもので、2014年1月に構想を発表した時点では「IBM Mail Next」(開発コード名)と呼んでいた。日本IBMは「革新的な働き方を実現するメールソリューション」と位置付ける。

 IBM Verseはメールサービス「IBM SmarterCloud Notes」や解析サービス「IBM Digital Analytics」などを利用するフロントエンドソフトウエアで、電子メールやスケジュールの機能に加えて、ファイル共有やチャット、ビデオ通話といったビジネスでのコミュニケーション手段を1つの環境に統合する。重要と考えられるタスクを優先的に表示したり、関連する可能性がある情報や検索語を推奨したりといった機能を備える(写真1)。

 「これまでのメールソフトはメールボックスを中心にしたもので、優先順位などを人が考えなければならなかった。それを『人を中心にしてタスクを管理しよう』という発想でつくり変えた」。日本IBM ソフトウェア事業本部 コラボレーションソリューションズ事業部 事業部長の田崎慎氏はIBM Verseの狙いをこう語る。顧客からの要望、IBM Design Labに所属するデザインの専門家の意見、そしてIBMの検索や分析の技術などに基づいて、オフィス業務の生産性を抜本的に向上させるツールとして開発したという。コミュニケーションの履歴などに基づいて作業の重要性を自動的に判断することによって、ユーザーが重要な作業を見落とすことなく、かつその作業を効率良く進められるようにすることを目指している。

 IBM Verseのクライアントソフトウエアを起動すると、その時点で連絡する可能性が高いユーザー、他のユーザーに依頼中のタスク、自分が依頼されているタスクなどに情報を絞り込んだ画面を表示する。例えばこの画面でユーザーの1人を選ぶと、その人と送受信したメールの一覧を表示したり、メール作成やチャット開始、連絡先情報の表示などの画面に遷移したりできる(写真2)。メール本文や添付ファイルを対象とする検索機能では、検索結果を絞り込む言葉を自動的に推奨したり、検索した添付ファイルをアプリの切り替えなしで開いたりできる。その時点では表示させたくないスレッドをミュートする(重要なメールとしては表示しないが、メールの全件表示では表示する)機能も備える。

 クライアント向けにはWebブラウザー版とモバイルアプリ版を提供する。2015年第1四半期にSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型で提供を開始し、同年下期にオンプレミス型の製品も提供する予定。サービスの価格や詳細な機能などは2015年1月25日に米国で開催するイベント「IBM ConnectED 2015」で発表する。

 今後の方向性として日本IBMは、「Watson」の自然言語処理能力を生かした作業の効率化、Connectionsが持つSNSでのアクティビティー履歴との統合などを挙げる(写真3)。また、Notes以外のメールサービスのフロントエンドとしてIBM Verseを利用可能にする可能性もあるという。