写真●米ペイワードCEOのジェシー・パウエル氏(左)とMTGOX破産管財人の小林信明弁護士
写真●米ペイワードCEOのジェシー・パウエル氏(左)とMTGOX破産管財人の小林信明弁護士
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 ビットコイン取引所「Kraken(クラケン)」を運営する米ペイワードは2014年11月26日、同じくビットコイン取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」を運営していたMTGOXの破産管財人である小林信明弁護士と破産手続きの支援などに関する契約を締結したと発表した(写真、関連記事:東京地裁がMTGOXの再生手続開始の申立てを棄却、破産手続きへ、関連記事:Mt.Gox破綻は必然、ビットコイン取引所運営には覚悟を)。

 ペイワードCEOのジェシー・パウエル氏は、「破産手続きを早く進められるように支援させていただきたい。被害に遭った方のために最善を尽くす」と述べた。ペイワードとしてMt.Goxの再生や事業継続は意図していないという。具体的にはペイワードは破産管財人から要請があった場合、次の支援をする。(1)紛失した可能性があるとされるビットコインの調査への協力、(2)債権届け出・調査システムの構築への協力、(3)ビットコインもしくは現金による配当への協力(現時点で未定)、(4)ビットコインの換価が必要な場合の換価への協力、である。

 破産管財人の小林氏は支援企業の選定について、「ビットコインの事業自体が特殊で、専門的知識を有する方の協力が必要。それをやっていただける支援者の選定を進めていた。今般、ペイワードが最適と判断して、本日支援企業決定の契約をした。ビットコインについての専門的知見が高く、取引所としての信用度も高いと認識しており、今後はペイワードの協力を得て、預金の消失の調査や配当の方法を構築する」と説明する。

 ペイワードは、MTGOXの資産および負債について、MTGOXのビットコインおよび預り金の配当・換価に関与する可能性はあるとするが、ペイワード自身がビットコインや預り金を譲り受けることは意図していないとしている。また負債も引き受けない。MTGOXの保有していたサーバーやパソコンはペイワードへの資産譲渡の対象だが、MTGOXの運営システムやユーザー情報は譲渡対象資産に含まれていない。

 なおKrakenのユーザー口座数は11月20日現在で約10万。取引量はユーロの場合1日あたり3000ビットコイン。Krakenは円の取り扱いも始めているが、開始したばかりであり、現状は「1日当たり20ビットコイン程度」(ペイワード日本事業代表者の宮口礼子氏)だという。