キヤノンITソリューションズは2014年11月26日、同社が代理店を務めるESETのセキュリティ対策ソフト「ESETセキュリティ ソフトウェア シリーズ」の新バージョン「ESET Smart Security V8.0」「ESET NOD32アンチウイルス V8.0」を発表した。12月11日に提供を始める。従来製品のユーザーは無償でバージョンアップ可能。

 新バージョンは、脆弱性対策機能「エクスプロイト ブロッカー」を強化したほか、「ボットネット プロテクション」機能を新たに搭載した。これまでのエクスプロイト ブロッカーはWebブラウザーやメールソフトの脆弱性を対象にしていた。新版では新たにJavaの脆弱性にも対応した。

 ボットネット プロテクションは通信プロトコルを解析して、ボットとみられるソフトウエアを検出。ボットネットのコントロールサーバーとの通信を遮断する。ボットネット プロテクションを搭載するのは個人向け製品や法人向けの「ESET オフィス セキュリティ」に入っているSmart Securityのみ。

 個人向けは5台まで使える「ファミリー セキュリティ」と1台のみの「パーソナル セキュリティ」がある。いずれもWindows/OS X/Android用のプログラムから選べる。ダウンロード版の価格は、ファミリー セキュリティ3年版が6800円(税別、以下同じ)、同1年版が5800円。パーソナル セキュリティ3年版は4800円、同1年版は3200円。

写真1●ESETアジアセールスディレクターのパーヴィンダー・ワリア氏
写真1●ESETアジアセールスディレクターのパーヴィンダー・ワリア氏
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写真2●ESET本社ウイルスラボ責任者のユライ・マルホ氏
写真2●ESET本社ウイルスラボ責任者のユライ・マルホ氏
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 発表会ではESETアジアセールスディレクターのパーヴィンダー・ワリア氏(写真1)や、ESET本社ウイルスラボ責任者のユライ・マルホ氏(写真2)が登壇。ワリア氏は、ESET製品はニュージーランドで市場シェア2位、香港では3位になっており、アジア・太平洋地域全体ではトレンドマイクロ、シマンテック、インテル(マカフィー)に次いで4位の地位にあることなどを紹介した。

 マルホ氏は、日本のメジャーな銀行やプロバイダーのアカウント情報を狙ったマルウエアが日本のアダルトサイト経由で広がった例を挙げて、アダルトサイトを見た後にオンラインバンキングを使用するのは避けたほうがよいなど、最新動向を解説。新版のバージョン8.0ではボットネットやJavaの脆弱性など最近の攻撃手段に対応できたこと、ファイルコピーやWebサイトからのダウンロードを高速化したことをアピールした。

写真3●キヤノンITソリューションズ執行役員プロダクトソリューション事業本部セキュリティソリューション事業部長の近藤伸也氏
写真3●キヤノンITソリューションズ執行役員プロダクトソリューション事業本部セキュリティソリューション事業部長の近藤伸也氏
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 日本の状況はキヤノンITソリューションズ執行役員プロダクトソリューション事業本部セキュリティソリューション事業部長の近藤伸也氏(写真3)が説明した。「これまでは組織力を生かして販売を伸ばすとしていたが、最近はセキュリティ対策ソフトとして指名されることもある」と認知度が上がってきたとし、2014年の売り上げは市場の伸びを上回る伸びが見込めるとした。

 ビジネスを拡大する取り組みとして、マルウエアに関するニュースや解説を掲載する「マルウエア情報局」、個人向け製品専用サイト「CLUB ESET」、ユーザーコミュニティなどを開設。エンタープライズ向けには、ゲートウエイセキュリティ製品を発売したり、端末数ではなく教員/学生数でカウントする教育機関向けライセンスを導入したりしたことを紹介した。